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潰瘍性大腸炎の長期経過例に対する有効な内視鏡観察法について具体的なアドバイスは?

No.5026 (2020年08月22日発行) P.44

永尾重昭  (公立昭和病院予防・健診センターセンター長)

浦岡俊夫  (群馬大学大学院医学系研究科 消化器・肝臓内科学分野主任教授)

登録日: 2020-08-25

最終更新日: 2020-08-20

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  • 炎症性腸疾患の長期経過例は,慢性炎症を背景とした消化管癌発症のハイリスクであることが知られています。潰瘍性大腸炎の長期経過例においては,大腸内視鏡によるサーベイランスを定期的に行うことが発がんの早期発見のために重要ですが,色素撒布や狭帯域光観察(narrow band imaging:NBI)などの画像強調内視鏡を用いた,より効果的な観察法について具体的なアドバイスをお願いします。
    群馬大学・浦岡俊夫先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    永尾重昭 公立昭和病院予防・健診センターセンター長


    【回答】

     【発がんのハイリスク症例には,積極的な色素撒布と拡大観察が勧められる】

    ご指摘の通り,潰瘍性大腸炎の長期経過例に対する大腸内視鏡によるサーベイランスは,がんの早期発見に寄与し,生命予後にも影響があるとされています。潰瘍性大腸炎から発生する腫瘍は,潰瘍性大腸炎関連腫瘍(ulcerative colitis-associated neoplasia:UCAN)と近年呼称されるようになっています。発がん経路は,dysplasia-carcinoma sequenceをたどるため,早期がんの発見はもとより,dysplasiaを確実に発見する内視鏡観察が求められます。

    (1)サーベイランスの対象

    日本消化器病学会発刊の「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2016」では,発症から8年後にスクリーニング目的の内視鏡検査を行い,その後は1~2年に一度,全大腸炎型および左側大腸炎型を対象にサーベイランス内視鏡を行うことが推奨されています。大腸粘膜の色調・形態に変化がみられる,炎症の活動期における病変の早期発見はきわめて困難であることから,寛解導入期・維持期に評価することが必須条件で,各種薬物療法での病勢コントロールは重要です。

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