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痒疹[私の治療]

No.5024 (2020年08月08日発行) P.44

森田栄伸 (島根大学医学部皮膚科学講座教授)

登録日: 2020-08-10

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  • 痒疹は,強いかゆみを伴う孤立した丘疹あるいは小結節を呈する炎症反応である1)。初期には毛囊炎様皮疹や漿液性丘疹としてみられ,搔爬により数カ月をかけて徐々に成長する。慢性化した痒疹は,過角化や炎症による色素沈着を示し,結節の中心部に搔爬による小潰瘍あるいは痂皮を伴う1)

    ▶診断のポイント

    強いかゆみを伴う丘疹が孤立して散在することが特徴で,典型的な痒疹は融合して局面を形成しないことから臨床的に診断する。病理組織検査にて,表皮の肥厚と表皮内の海綿状態を確認するとよい。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方1)

    痒疹が孤立して存在する機序は説明できないが,その病態は基本的にはアトピー性皮膚炎に準じた慢性炎症反応であると考えている。急性炎症反応として発症するが,強いかゆみのため搔爬が繰り返され,徐々に過角化,表皮肥厚と表皮釘の延長,メラニンの滴落による色素沈着,真皮の線維化と血管周囲性のリンパ球浸潤をきたす。痒疹の治療は,基本的にはアトピー性皮膚炎に準じた治療計画とし,基礎疾患の検索と対策,スキンケア,薬物療法が三本柱である。

    薬物療法の主体はステロイド外用薬であり,そのポイントは,皮疹の出現初期あるいは亜急性期に十分な強度のあるステロイド外用薬を塗布して,炎症反応を抑制し慢性化を防ぐことである。大切なことは,ステロイド外用により炎症反応が消退しても決して外用を中止してはならない点である。炎症反応が改善しても可能であれば2週程度は外用を継続し,その後proactive療法へ移行する。

    一方,慢性期になると皮疹が厚みを増すため,ストロンゲストクラスのステロイド外用薬にても消退させることは容易ではない。また,結節部位を超えて外用を継続した場合,皮膚萎縮をきたすため外用範囲の指導が必要である。慢性期の場合,ステロイドテープ剤が有効である。結節よりやや大きめに切ったテープ剤を入浴後に結節部位に貼付させる。その際,軟膏や保湿剤は使用させないようにする。これらを外用するとテープ剤を貼付しても容易に剥がれてしまう。貼付時間は8時間以内とし,翌朝にはテープ剤を剥がしてステロイド外用薬を使用させる。長時間貼付したままでは,貼付部位の発汗が阻害され,かえってかゆみが増すもととなるため,注意を要する。

    外用薬にて効果不十分な痒疹結節には,ステロイド懸濁液局注の併用がきわめて有効である。ステロイド懸濁液を生理食塩水あるいはキシロカイン®1%(リドカイン)で希釈して,ツベルクリン針にて結節内に皮内投与する。2週ごとに2~3回繰り返すと結節はほぼ平坦化する。結節が多い場合にはステロイド投与量が多くなるため,一度にすべての結節に投与せず,ローテーションすることも一案であり,1回の総投与量に注意する。ケナコルト-A®(トリアムシノロンアセトニド)の過量投与は,副腎抑制をきたす,あるいは大腿骨頭壊死などの非可逆的副作用をきたすため,厳に注意を要する。

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