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わが国におけるバレット食道の定義

No.5023 (2020年08月01日発行) P.46

飯島克則  (秋田大学消化器内科/神経内科教授)

登録日: 2020-07-29

最終更新日: 2020-07-28

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【非常に広義となっていることが効率的なサーベイランスの妨げとなっている】

バレット食道は,繰り返す逆流性食道炎によって,食道の扁平上皮が円柱上皮に置き換わった状態であり,食道腺癌の発生母地として重要とされている。バレット食道の診断は世界的に統一されておらず,中でもわが国でのバレット食道の定義は,非常に広義のものとなっている。多くの国では,バレット食道の定義として,1cm以上の長さ,組織学的腸上皮化生の証明のうち,いずれか,または両方が必須とされているが,わが国においてはいずれも定義には含まれず,内視鏡的に観察されるのみで十分で,組織学的診断の確認は不要で,いかなる長さのものであってもよい,とされている。その結果,わが国でのバレット食道の発見率は,全内視鏡検査受診者の10~50%にも及び,諸外国に比べ飛び抜けて高いものとなっている。

一方,現時点でのわが国での食道腺癌の発生は,欧米に比べ非常に少ない状況で,がんとその発がん母地の頻度に大きな乖離がみられる。バレット食道は,食道腺癌の発生母地として,がんの早期発見のために定期的なサーベイランスが推奨される。その場合,わが国の基準では,バレット食道が非常に多いわりに,食道腺癌はほとんどみつからず,効率的なサーベイランスの妨げとなっている。最新のわが国の多施設共同研究の報告では,3cm以上ある本格的なバレット食道の発がん率は年率1.2%と高く1),これは欧米と同レベルであり,わが国においてもこうした症例は,積極的なサーベイランスが望まれる。

【文献】

1) Matsuhashi N, et al:J Gastroenterol Hepatol. 2017;32(2):409-14.

【解説】

飯島克則 秋田大学消化器内科/神経内科教授

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