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【識者の眼】「地域における医師と看護師の連携・協働〜訪問看護師の役割〜」石橋幸滋

No.5025 (2020年08月15日発行) P.62

石橋幸滋 (石橋クリニック院長)

登録日: 2020-07-28

最終更新日: 2020-07-28

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往診を始めて40年近くなるが、その間、看護師の役割は大きく変化した。当初看護師は医師の補助として自宅での診察について行く存在であったが、現在は訪問計画に基づいて定期的に行く往診は訪問診療と呼ばれ、提供される在宅サービスも大きく変化した。この変化をもたらした一つの大きな要因が、1992年から始まった老人訪問看護制度である。

この制度により、訪問看護ステーションが設立され、訪問看護師が在宅の寝たきり高齢者の訪問に入るようになった。そして、訪問看護により在宅ケアの質が上がると共に、在宅でも中心静脈栄養などの点滴管理、人工呼吸器管理、インスリンによる血糖管理などの高度な医療を提供できるようになった。

加えて、訪問看護師はのように、病院の看護師よりもさらに多くの役割を果たしている。また訪問看護ステーションでは、看護師の他にケアマネジャーやリハビリテーション専門職、管理栄養士を雇用して介護やリハビリ、栄養相談・指導などを行っているところもある。

このように訪問看護師は、訪問診療医にとって在宅医療パートナーとしてなくてはならない存在であるが、なんといってもありがたいのが、在宅患者さんのファーストコールを受けてもらえることである。患者さんの症状が変化したり、介護者が困った時などに、患者さんや家族は敷居の高い医師ではなく、訪問看護師に連絡を取ることが多い。その分医師の負担が軽くなり、医師の訪問診療へのハードルが低くなっている。特に多くのステーションは24時間対応をしてくれているので、前期高齢者になった身からすると、夜間のコールが少なくなり心から感謝している。

石橋幸滋(石橋クリニック院長)[多職種連携・協働]

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