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好酸球性細気管支炎の病態および治療について

No.5018 (2020年06月27日発行) P.53

中込一之  (埼玉医科大学呼吸器内科准教授/ 埼玉医科大学病院アレルギーセンター)

倉島一喜  (埼玉県立循環器・呼吸器病センター 呼吸器内科感染症対策部長)

登録日: 2020-06-26

最終更新日: 2020-06-23

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  • 気管支喘息と鑑別が難しい疾患として好酸球性細気管支炎があります。好酸球性細気管支炎は,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)(または不全型)における肺病変としても最近注目されています。好酸球性細気管支炎の病態および治療について,埼玉県立循環器・呼吸器病センター・倉島一喜先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    中込一之 埼玉医科大学呼吸器内科准教授/ 埼玉医科大学病院アレルギーセンター


    【回答】

    【吸入ステロイドに反応しないアレルギー性の気道疾患。内服ステロイド,抗体製剤の早期投与が有効】

    好酸球性細気管支炎は,細気管支領域に好酸球の集積を認め,CT上びまん性の小葉中心性陰影を認める慢性気道疾患として,2001年にわが国から報告された疾患です。最初の症例は,数年間にわたり咳,痰,呼吸困難を認めながらも喘鳴などの喘息症状はなく,当初CT所見からびまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)が疑われましたが,経過中末梢血好酸球数が増加し,肺生検所見から好酸球が主体の細気管支炎と診断されました。

    現在まで,わが国を中心に40数例の報告があります。フランスのCordierらは臨床的にhypereosinophilic obliterative bronchiolitis(HOB)という概念を提唱していますが,病理学的な検討に乏しく,好酸球性細気管支炎と同一であるかは不明です。筆者らが自験例とわが国での報告例をまとめた検討では,全例に①CT上びまん性の小葉中心性陰影を認め,②呼気NOの上昇もしくは肺胞洗浄液中の好酸球増加,③吸入ステロイドに反応の乏しい慢性の咳,痰,呼吸困難,などを認めました。好酸球性細気管支炎は吸入ステロイドに反応の乏しいアレルギー性気道疾患で,DPBや喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などとの鑑別診断として重要です。

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