【質問者】
中込一之 埼玉医科大学呼吸器内科准教授/ 埼玉医科大学病院アレルギーセンター
【吸入ステロイドに反応しないアレルギー性の気道疾患。内服ステロイド,抗体製剤の早期投与が有効】
好酸球性細気管支炎は,細気管支領域に好酸球の集積を認め,CT上びまん性の小葉中心性陰影を認める慢性気道疾患として,2001年にわが国から報告された疾患です。最初の症例は,数年間にわたり咳,痰,呼吸困難を認めながらも喘鳴などの喘息症状はなく,当初CT所見からびまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)が疑われましたが,経過中末梢血好酸球数が増加し,肺生検所見から好酸球が主体の細気管支炎と診断されました。
現在まで,わが国を中心に40数例の報告があります。フランスのCordierらは臨床的にhypereosinophilic obliterative bronchiolitis(HOB)という概念を提唱していますが,病理学的な検討に乏しく,好酸球性細気管支炎と同一であるかは不明です。筆者らが自験例とわが国での報告例をまとめた検討では,全例に①CT上びまん性の小葉中心性陰影を認め,②呼気NOの上昇もしくは肺胞洗浄液中の好酸球増加,③吸入ステロイドに反応の乏しい慢性の咳,痰,呼吸困難,などを認めました。好酸球性細気管支炎は吸入ステロイドに反応の乏しいアレルギー性気道疾患で,DPBや喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などとの鑑別診断として重要です。
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