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CKDのチーム医療と腎臓病療養指導士

No.5014 (2020年05月30日発行) P.47

要 伸也 (杏林大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授)

登録日: 2020-06-01

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【全国へのCKD療養指導の普及と診療水準向上の起爆剤になることが期待される】

慢性腎臓病(CKD)診療はチーム医療であり,多職種が協力して1人の患者の療養指導にあたることが重要である。2018年4月,CKD療養指導に精通する医療従事者のための資格である「腎臓病療養指導士」制度が始まった。これまでに1000名を超える指導士が誕生している。本資格は,CKD患者の療養指導に関する職種横断的な基本知識・技能を持つ看護職(看護師・保健師),管理栄養士,薬剤師に与えられ,腎臓病患者への療養指導を全国各地に浸透させることを目的としている。

設立団体は,日本腎臓学会,日本腎不全看護学会,日本栄養士会,日本腎臓病薬物療法学会の4団体であり,NPO法人日本腎臓病協会が認定する。所属施設を,①大学病院・基幹病院,②一般病院・クリニック,③それ以外,にわけると,本資格はいずれでも取得可能である点が特徴である。役割として,①には各施設および地域におけるチーム医療の推進,②には腎臓専門医不在地域での非専門医のサポート役としての活躍,がそれぞれ求められる。③には保健師,薬局薬剤師,栄養ケアステーションや行政に属する管理栄養士などが含まれ,受診勧奨やCKD対策への後方支援,かかりつけ医のサポートなどが期待される。

本制度はまだ始まったばかりであり,今後は,医療の各現場,あるいはキーパーソンを中心とした地域ごとの活動,地域偏在を考慮した継続的な育成,などが課題として挙げられる。新たに誕生した腎臓病療養指導士が,チーム医療・地域医療の一翼を担い,CKDの療養指導の普及と診療水準の向上の起爆剤になることが期待されている。

【解説】

要 伸也 杏林大学腎臓・リウマチ膠原病内科教授

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