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プロトンポンプ阻害薬と関連する有害事象

No.5012 (2020年05月16日発行) P.46

飯島克則 (秋田大学消化器内科/神経内科教授)

登録日: 2020-05-19

最終更新日: 2020-05-12

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 【口腔内細菌が小腸に侵入し,腸内細菌叢を変化させる】

強力な胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は,逆流性食道炎・消化性潰瘍などの酸関連疾患に対する治療薬として高い有効性を示し,現在,わが国を含む全世界で最も汎用されている薬剤のひとつとなっている。PPIの安全性は比較的高いものの,PPI使用に伴う種々の有害事象が報告され,これまでのビッグデータを用いた解析では,市中肺炎,骨折,認知症,慢性腎臓病,偽膜性腸炎などとの関連性が指摘されている。この中で,偽膜性腸炎に関しては,因果関係はある程度確立しているが,その他に関しては,関連は示されているが,因果関係に関してはまだ不明なものが多い。

しかし,PPIは強力に胃酸分泌を抑制することで胃酸の殺菌作用が減弱し,口腔内細菌が胃を通過し小腸への侵入を許し,最終的に腸内細菌叢を変化させることが知られている。腸内細菌叢は,近年の研究のトピックスとして,全身の種々の病態に関連することが明らかになっており,PPIは,腸内細菌叢の変化を介して,全身性に種々の影響を及ぼす可能性がある。PPIと種々の事象の関連の強さは,いずれもオッズ比1.0~2.0程度と弱いものであるが,PPIは非常に汎用されていることから,影響を受ける患者の実数は少なくはないと考えられる。

PPIの使用に関しては,必ずしも明確な適応がない場合でも漫然と使用されている場合もあり,適切な用量を,適切な期間で使用することが望ましい。

【解説】

飯島克則 秋田大学消化器内科/神経内科教授

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