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【識者の眼】「災害時医療の基本原則“CSCATTT”」太田祥一

No.5011 (2020年05月09日発行) P.32

太田祥一 (医療法人社団 親樹会 恵泉クリニック院長)

登録日: 2020-05-08

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクルーズ船対応でDMAT(disaster medicalassistance team)が派遣されました。DMATとは、「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義され、医師、看護師、業務調整員等で構成され、大規模災害や多数傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。1995年1月17日の「阪神・淡路大震災」の教訓を生かし、「避けられた災害死」を避けるために発足しました。東京DMATは、都市型災害の現場に、消防隊とともに出動します。

英国には、大災害時の医療にかかわる警察、消防、救急、医療機関、ボランティア、行政などの各部門の役割と責任、組織体系、連携の仕方、対処法、装備、などをまとめて講義、訓練するMIMMS(major incident medical management and support)と呼ばれる少人数向けの教育システムがあり、そのエッセンスは、DMAT等でのわが国の災害医学教育にも用いられています。災害時医療の原則は、その頭文字を取った、CSCATTTです。

「C:command and control─指揮・統制の確立、遵守」「S:safety─安全(自分、傷病者、現場)の確保」「C:communication─情報伝達」「A:assessment─医療資源と傷病者のバランスを考えた継続的な評価」「T:triage─トリアージ」「T:treatment─治療」「T:transport─搬送(含広域搬送)」

災害時の医療といえばトリアージ、と思われる方が多いかもしれませんが、その前にCSCAが重要とされています。これは限られた医療資源、情報で、より多くの傷病者を救命するために、どうしたら良いか(資源を最大限、効率的に活用できるか)ということを第一に考えるために必要です。私がこれを初めて学んだ時には医学教育でこのような内容を取り入れるのはとても大事だと思いました。Cの情報伝達も、災害超急性期の混乱の中では、普段と異なり、行動するに当たり、必要最低限の情報を効率的に伝えることが重要です。ここでも、METHANEという頭文字でその要点が示されています。

「M:major incident(STANDBY or DECLARED)─災害発生、自分のコールサインの宣言」「E:exact location─正確な場所」「T:type of incident─災害の種類」「H:hazard─危険の有無、種類」「A:access to scene─現場への経路」「N:number and severity of casualties─被災者の数と重症度」「E:emergency services(present and required)─必要な救急医療」

災害時、特に超急性期の医療は医療者だけで賄えるものではありません。その時に、多くの方にお手伝いしていただけるように、災害医療の知識を正しく、楽しく、学んでいただくために、medutainement(medicine+education+entertainement)という観点から教材を作りました(http://www.disaster-medutainment.jp/project_description)。このような機会に、これからの時代の多くの方に、是非ご覧いただき、今後起こるかもしれない、何かの時に少しでもお役立ていただければと思います。

太田祥一(医療法人社団 親樹会 恵泉クリニック院長)[災害医療]

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