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【識者の眼】「安い方から行きましょう」宮内倫也

No.5010 (2020年05月02日発行) P.65

宮内倫也 (可知記念病院)

登録日: 2020-05-05

最終更新日: 2020-07-03

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筆者はある病院の口腔顔面痛外来に参加しており(2020年度で離脱予定)、「原因不明の舌痛症」として紹介される患者さんを診ていますが、かなりの割合で低亜鉛血症を認めます。特殊な外来なので集まってくるのかもしれませんが、測定すると「あの人もこの人も」状態。亜鉛補充で改善する患者さんも多く、器質性を疑うことの大切さを実感しています。

さて、その亜鉛補充の薬剤には、低亜鉛血症への適応を有したノベルジン®(一般名:酢酸亜鉛水和物)と、適応外となるプロマック®(一般名:ポラプレジンク)があります。

ノベルジン®は25mg錠と50mg錠とがあり(亜鉛もそのmg数含む)、薬価はそれぞれ約270円、約430円。かなり高価で2020年現在は後発品がありません。1日の投与量は150mgが上限です。

胃潰瘍治療薬であるプロマック®は、錠剤と顆粒とがあります。1錠(1包)に亜鉛が約17mg含まれるため、低亜鉛血症の治療に援用していました。しかし、2011年に厚生労働省が「味覚障害に対して処方した場合、当該使用事例を審査上認める」と通達を出したため1)、今は処方しやすくなっています。1錠が約28円で、1包もほぼ同じ薬価です。後発品があり、それを選択するとさらに安価に。1日の投与量は2錠(2包)で、添付文書の“適宜増減”を考慮すると4錠(4包)、すなわち約70mgまでは可能と考えられます。

以上から、亜鉛70mgまでの補充であれば圧倒的にプロマック®のコスパが優秀です。ノベルジン®の薬価の高さに驚く患者さんも多く、筆者はまずプロマック®を4錠(4包)まで処方し、それでも血清亜鉛値が上がってこない場合はそこにノベルジン®を25mgから追加しています。また、空腹時に服用すると吸収が上がるのですが、亜鉛製剤は消化器系の副作用が結構出ます。よって、食後を原則としています。

ただ、亜鉛補充の時は銅欠乏に注意を。治療経過を追う際に銅も測定し、患者さんには純度の高いココアやチョコレートをたまに摂るよう指導します(カカオに銅が含まれるため)。

【文献】

1) 厚生労働省「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」(保医発第0928第1号)

宮内倫也(可知記念病院)[低亜鉛血症][舌痛症]

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