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【識者の眼】「新型コロナに関する一般社会の疑問と対応」勝田吉彰

No.5007 (2020年04月11日発行) P.59

勝田吉彰 (関西福祉大学社会福祉学研究科教授)

登録日: 2020-03-31

最終更新日: 2020-03-31

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筆者は引き続き、COVID-19関連についてメディア対応を行っている。その中で、記者やテレビマンから問われた質問をいくつか、対応の一例とともに紹介する。彼らの準備過程で、街中の取材も行っているから、これらは一般庶民の持っている疑問をある程度反映していると思われる。

Q1.いつ収束するのでしょうか?

「神様にしかわかりません」というのが最も誠実な答えであろう。実際にその通り申し上げたことも何度かあるが、「感染して治癒した人が増え、世間に抗体が行き渡ったら、そこで盾になって感染拡大が収まってきます。およそ2年ぐらいでしょうか」と集団免疫を噛み砕いて説明する。

より短期的に当面、この“騒動”が収まるのはいつか?と聞きたい向きもある。やはり「神様しか〜」が誠実であろうが、筆者は「気温の上昇とともに、20℃台後半になったら予想感染者数がぐっと下がる可能性を指摘する論文が最近でています1)」「緯度・温度・絶対湿度の分析で、暖かくなればという論文も2)」と紹介することもある。preliminary evidence(予備的証拠)であると明記されているから、独り歩きしないようしっかり釘をさしながら。

Q2.大阪府—兵庫県の往来自粛要請は意味があったか?効果があったか?

3月20日からの3連休、大阪府民は兵庫県内に行かないようにと往来自粛要請が大阪府知事からなされた。当初、兵庫県知事が会見で不快感を表明することもあったが、要請自体はおおむね好意的に受け止められたようである。この自粛要請が効果ありやなしや? との問いかけも多数いただいた。武漢の封じ込めに関する報告はあれど3)、強制力のない要請についてのエビデンスはもちろんない。「人と人との接触回数が減るので、その部分は感染拡大の機会を減らすことはあるでしょう。ただ、このような『前例のない、初めて聞くこと』を首長が言語明瞭に表明することによるメッセージ性は大きいと思います。これは大阪の人が大阪の繁華街に出かけるのが減ったりといった、県境を越えた往来以外についても効果があったのではないでしょうか」と伝えている。(潜伏期からみて)実際の効果は1〜2週間後に、同様の要請のなかった首都圏と比較において明らかになるであろうと付け加えて。

Q3.嗅覚を失う症状があるのか?

阪神タイガース球団の藤浪選手が嗅覚脱失を訴えて受診し陽性確認されたことから、世間の関心が一挙に高まった。「確かにあります。米国の耳鼻科学会(正確には耳鼻咽喉頭頚部外科学会)は、嗅覚がなくなることを、新型コロナ感染のサインのひとつに盛り込むことを提言しています」「同学会のHPではこの件について大きくスペースを割き、その診察を経験した現場の医師が簡単に報告できるコーナーをつくっています4)。おそらく遠からず症例が集まって正式な論文も出てくるのではないでしょうか」と話している。余談であるが、このコーナーは会員でなくとも、米国外からでも簡単に入力できるので、読者諸賢も経験されたらお試しあれ。

Q4.特に避けるべきリスクは?

専門家会議から提示されたクラスタのできやすい3条件。筆者は、子どもにも口ずさんでもらえる語呂合わせを、TVのパネルなどで採用いただいている。かみかみ。

か:換気悪い

み:密集(人ごみ)

か:会話(至近距離)

み:みんなで減らそう!

子どもも大人もこれを口ぐせにして、いま居るところが「かみかみ」じゃないかいつも意識してもらうという狙いである。専門家会議のメッセージを、咀嚼(かみかみ)して世間に広めるのも我々医療者の役割、という思いも込めている。

【文献】

1) https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.18.20036731v1.full.pdf

2) https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3550308

3) https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.02.16.20023770v1

4) https://www.entnet.org/content/reporting-tool-patients-anosmia-related-covid-19

勝田吉彰(関西福祉大学社会福祉学研究科教授)[新型コロナウイルス感染症]

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