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掌蹠膿疱症に対する新たな治療選択肢

No.5003 (2020年03月14日発行) P.54

村上正基  (愛媛大学皮膚科准教授)

登録日: 2020-03-15

最終更新日: 2020-03-11

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【外用療法と生活指導を行ってもなお皮疹の改善が得られない症例に対するセカンドラインの治療法として期待】

2018年11月に,掌蹠膿疱症に対する世界初・わが国発の生物学的製剤が適用拡大となった。ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-23p19モノクローナル抗体製剤グセルクマブ(トレムフィア®)で,この薬剤は既に乾癬治療においての承認が得られている。すなわち,既に多くの皮膚科専門医に使用経験があることが特筆される。
PPP3001試験では,既存治療の効果が不十分で,PPP-ASI(掌蹠膿疱症による皮疹の面積と重症度指数)合計スコアが12以上,手掌足底に中等度以上の膿疱・小水疱を有する掌蹠膿疱症の日本人患者159例を対象に0および4週後,それ以降8週間隔で皮下投与された。プライマリーエンドポイントたる16週でPPP-ASIスコア変化量(主要評価項目)での評価は,200mg群で-11.7,100 mg群で-15.3,プラセボ群で-7.6であり,プラセボと比較してグセルクマブ200mgと100mgで有意な改善が認められている。いずれの用量でも安全性上の新たな懸念は認められず,52週まで効果の維持も確認された。しかし,積極的な皮膚生検などを併用して掌蹠膿疱症としっかり診断されることが肝要であることを忘れてはならない。
正しく診断がなされた上で,まずは病態増悪因子の徹底的な検索,特に病巣感染(齲歯,根尖膿瘍,扁桃腺炎,副鼻腔炎)の徹底的な検索,禁煙は必ず行うべきである。この点をふまえて,根気強く外用療法と生活指導を行っても,皮疹の改善が8割程度にとどまるような症例も多く経験する。このような症例に対してこそ,セカンドラインとしてこの新たな選択肢の威力が期待される。

【解説】

村上正基 愛媛大学皮膚科准教授

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