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【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:どうしていま、『風邪をひいたら自宅安静が大切』か」中山久仁子

No.5002 (2020年03月07日発行) P.65

中山久仁子 (マイファミリークリニック蒲郡院長)

登録日: 2020-03-02

最終更新日: 2020-03-02

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本でも地域的な感染が見られるようになり、一般診療所や外来に感冒症状で受診された患者さんが、COVID-19なのか、そうでないのか、迷う場面がこれから増えてくると思います。「初期には鑑別ができない」、これがCOVID-19の特徴です。

COVID-19の臨床経過は、感染から約5日間(1〜12.5日)の潜伏期を経て、発熱、呼吸器症状(咳、喀痰、鼻汁など)などが出現。一部の患者さんでは嘔吐、下痢などの消化器症状を呈し、それらの症状が比較的長く、約7日間持続するという特徴があります。さらに、発熱の程度に比して、強い倦怠感を訴えることが多いのも特徴です。

普通の風邪やインフルエンザあるいは急性胃腸炎は、発症から3〜4日目までが症状のピークで、その後改善傾向となるのが一般的で、COVID-19との違いは、症状が普通の風邪にそっくりであるものの、症状の経過期間が長いという点です。COVID-19は、その後、症状が1週間前後続き、約8割は自然に軽快して治癒し、約2割は肺炎を合併します。ただし、基礎疾患がある場合は、経過の早い段階で肺炎に至ることもあるため、要注意です。

さて、このように初期には診断が難しいので、一般の方にお伝えしたいことは、今後、感冒様症状がある時は「自分は、COVID-19かもしれない」と、慌てずに自覚しておくことが大事だということです。ほとんどのCOVID-19は軽い風邪症状で治りますし、特別な治療薬はありませんので、バランスの良い食事を摂り、しっかり休養して体力を高めておくことが大切です。もう一つ大切なことが、症状が軽い期間でも、他の人に感染をうつすということです。自分が肺炎にならないために、そして人にうつさないためには、風邪症状のある数日間は自宅でしっかり安静にして過ごしましょう。少しでも「風邪かな?」と思ったら、仕事はすぐに休みましょう。

患者さんから「COVID-19かもしれないのに自宅安静なんて、症状が辛くても病院にも受診してはいけないなんて不安」と聞かれますが、初期の症状は軽いので自宅安静できます。むしろ自宅安静できないほどに症状が強い時は、それは COVID-19の重症または他の病気の可能性もあるので、早めに受診しましょう。

「『風邪かな?』と思ったら、自宅安静」。自分にとっても、他人にとっても大切なことです。

中山久仁子(マイファミリークリニック蒲郡院長)[新型コロナウイルス感染症]

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