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【識者の眼】「令和2年、渡航医学の注目点は『ハデ好きなポイント』」勝田吉彰

No.5000 (2020年02月22日発行) P.46

勝田吉彰 (関西福祉大学社会福祉学研究科教授)

登録日: 2020-02-21

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記念すべき5000号の今回は、国境を越える渡航医学、令和2年に注目されるアイテムをゴロ合わせで紹介します。東京五輪、昨年の入国管理法改正による外国人労働者の本格的増加、インバウンド観光客の増加と、渡航医学の知見が求められる事象が目白押しです。

ハ:はしか(麻疹)

毎年何度かはメディアを賑わせる麻疹、2019年はウクライナ・コンゴ・マダガスカル・フィリピンと世界中で話題の尽きない一年でした。選挙でコメディアンが大統領になったウクライナ、戦乱地でエボラと麻疹が並行してアウトブレイクしてしまったコンゴと、政治経済状況とも結びついて暴れるこの疾患は克服の道遠しです。日本でも東京五輪に限ることなく、突然の話題となることでしょう。

デ:デング熱

東南アジアやアメリカ大陸で流行しています。同じヤブカで媒介されるチクングニヤ熱・ジカ熱・マヤロ熱ともども、要警戒です。筆者としては、(おそらく)怠りなく蚊対策が行われる(であろう)五輪会場周辺よりも、物理的予算的に蚊対策の限界がある上、内外の旅行者が集う神社仏閣が高リスクかと思います。

ズ:髄膜炎(侵襲性髄膜炎)

伝統的な流行地帯である、サブサハラの髄膜炎ベルト地帯は日本との人の流れは多くないものの、東京五輪はひとつの注目点です。

ポ:ポリオ
パキスタンを中心に盛り返しています。世界の発生状況は2018年→19年の比較で、野生型が33例→125例へ、ワクチン由来が104例→241例という数字。パキスタンを含む南西アジアには、インドやバングラデシュといった、日系企業の進出の増えている国も含まれるだけに、推移が気になるところです。 

イン:インフルエンザ
シーズンが逆になる南半球との人の流れが増える東京五輪をきっかけに「季節はずれのインフルエンザ流行」が起こるのか注目されます。

ト:渡航医学の一年!

上記の「ハデ好きなポイント」に加えて、昨年の入管法改正で増える外国人労働者のメンタルヘルス問題や感染症など、産業医学現場でも渡航医学の知見がますます広く求められる年になります。読者の皆様もぜひ、渡航医学に親しんでいただければと思います。

勝田吉彰(関西福祉大学社会福祉学研究科教授)[渡航医学]

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