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なかのとおる、危機一髪![なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(288)]

No.4997 (2020年02月01日発行) P.65

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2020-01-29

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エッセイのネタって、けっこう自然と飛び込んでくるもんやなぁと、いつも思っている。ところが、今度はなんとバスが飛び込んできた。で、今回はそのお話をば。

京都大学へ行く用事があって、1月23日の昼前、四条河原町の交差点で信号待ちをしていた。京都でも有数の繁華街で、交通量も人の数もやたらと多い場所である。

ぼんやりと立っていたら、爆発音を思わせる大きな音がした。驚いてその方向を見たら、なんと市バスが突っ込んできてた。

20人ほどもいただろう信号待ちの人は、激突するまで、誰も暴走には気づいていなかったようだ。ブレーキ音はしなかったし、悲鳴もまったくあがらなかったから。

雨が激しく降り出したところだったので、滑ったのかもしれない。と思っていたのだけれど、ニュースによると、運転手さん(52歳)は「気がついたら当たっていた」と話しているって、どういうこっちゃねん。

ネットニュースには、「街灯に衝突」と見出しがでていたけれど、絶対に違う。あれだけ大きな音がした衝突だ。街灯ぐらいなら軽くなぎ倒されていたはずである。

頑丈そうなコンクリート製の植え込みがあって、その一面が衝撃で倒れていた。そのおかげで止まったに違いない。いやぁ、植え込み様々である。

危なかったなぁとは思ったが、意外なほど冷静だった。運転手さんの意識ははっきりしているようだったし、所用の時間が迫っていたので、その場を後にした。けれど、次第に恐怖感がこみ上げてきた。

スピードはそれほどでもなかったようだが、もし歩道に乗り上げて、建物との間に挟まれたりしていたら、即死やないの。60歳を超えたらいつ死んでも不思議はないで、とかうそぶいてるけど、やっぱりそんな死に方はいややんか。 

この日は、用務の事情で、出張ではなくて研修扱いにしてあった。それって、もし事故にあっても労災扱いにならへんのとちゃうの。など、ちょっとせこいことも含めて、考え出したらいろいろ気になってくる。

いやぁしかし、人間、いつ死ぬかなんてホンマにわからんということですわな。これはきっと、神様が「生きてる間にもっと自由に好きなことをしておきなさい」というお告げをくださったに違いない。っちゅうように考えるのはわたしだけですかね。

なかののつぶやき
「この写真では街灯にぶつかって止まったように見えますが、バスとの間にはしっかり隙間がありました。見れば見るほど、あらためて恐ろしさがこみ上げてくるであります」

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