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【識者の眼】「実は、想定したくなかったのでは?」畑山 博

No.4995 (2020年01月18日発行) P.61

畑山 博 (医療法人財団足立病院理事長/社会福祉法人あだち福祉会理事長)

登録日: 2020-01-21

最終更新日: 2020-01-14

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世界規模で起こる気候変動は、日本でも大きな被害をもたらしています。特に2019年の台風19号(ハギビス)による、関東から東北地方にかけての豪雨は千曲川をはじめ多くの河川の決壊を起こし床上浸水6万戸余り、亡くなった方も100名近くに上っています。北陸新幹線の車両が浸水した映像には、驚きを通り越して恐怖を感じずにはいられません。そんな時、行政の担当者から出る言葉は「想定外」。最近よく聞く言葉の一つです。そういえば、福島第一原発の津波による被災も「想定外」の連発でした。

でも、本当にそうでしょうか?19号が来る1週間前には、きわめて大きくて強い、かつてない規模の台風が来ることを気象庁は連日伝えていましたし、気象レーダーで見る雨雲は日本列島全体の半分程もある大きさで、史上最強の一つである事が予想されていました。東日本大震災で福島第一原発を襲った津波は、30メートルの高さになり、原発の冷却装置が水に浸かりました。これも事前に大きな地震があれば30メートルの津波が来ること、来たら原発に被害が出ることを東京電力内では検討事項として挙げられていたと言われています。

「想定外」、言い訳にはもってこいの言葉ですが、実は、想定してないのではなく、したくなかっただけなのでは?と思うことがよくあります。次回は、医療における「想定外」について書きたいと思います。

畑山 博(医療法人財団足立病院理事長/社会福祉法人あだち福祉会理事長)[想定外① ]

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