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(3)職業性アレルギー性皮膚疾患の診かた[特集:職業性アレルギー疾患の診かた]

No.4986 (2019年11月16日発行) P.32

松永佳世子 (藤田医科大学医学部アレルギー疾患対策医療学講座教授)

登録日: 2019-11-18

最終更新日: 2019-11-13

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職業性アレルギー性皮膚疾患には,即時型アレルギーである接触蕁麻疹,接触蕁麻疹症候群,蕁麻疹,protein contact dermatitisと,遅延型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎と光アレルギー性接触皮膚炎がある

即時型アレルギーの診断は,即時型アレルギーの臨床症状と,接触した物質によるプリックテスト,患者血清中の抗原特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体を証明する検査によって行う

遅延型アレルギーの診断は,湿疹を主体とした遅延型アレルギーの臨床症状と,接触した物質と,その成分のパッチテストないしは光パッチテストによって行う

職業性アレルギー性皮膚疾患を起こす職業として頻度の高い順に,理容・美容業,医療・介護職,製造業,調理・飲食業が挙げられる

職業別に特徴的な原因製品やアレルゲンがあるが,職種を越えて,天然および合成ゴム手袋が原因に多くみられるため,手を介する職業性アレルギー性皮膚疾患の予防と治療においてラテックスを含まない,加硫促進剤等の化学物質の面で,良質の手袋の使用が重要である

1. 職業性アレルギー性皮膚疾患の分類と診断

職業と密接に関連した疾患を職業性疾患と呼び,皮膚に限れば職業性皮膚疾患と呼称する1)。その中で,免疫的機序が関与するものを職業性アレルギー性皮膚疾患と呼ぶ。

1 分類

職業性アレルギー性皮膚疾患には,即時型アレルギーである接触蕁麻疹,接触蕁麻疹症候群,蕁麻疹,protein contact dermatitisと,遅延型アレルギーであるアレルギー性接触皮膚炎と光アレルギー性接触皮膚炎がある。

2 診断

(1)アレルギーの診断

アレルギーの診断に必要な3つの項目は,①臨床症状がある,②アレルゲンへの曝露がある,③皮膚テストが陽性,そして即時型アレルギーでは④血液検査によって患者血清中の抗原特異的免疫グロブリンE(immunoglobulin E:IgE)抗体を証明することが確定に至る。

(2)即時型アレルギー

臨床症状:蕁麻疹(接触した部位,部位を越えて全身に),呼吸器症状,消化器症状,循環器症状,ショック。

原因物質:多くは蛋白質,稀に単純化学物質でも起こる。

皮膚検査:プリックテスト,スクラッチテスト,使用テスト。

血液検査:患者血清中の抗原特異的IgE抗体を証明する検査(CAP-FEIA,ELISA,Immunoblot,好塩基球活性化試験等)によって行う。

(3)遅延型アレルギー

臨床症状:湿疹を主体とするが,多形紅斑や血管浮腫に類似するなど,アレルギー接触皮膚炎の皮疹は多彩である2)

原因物質:多くは単純化学物質。

皮膚検査:接触した物質,その成分のパッチテストないしは光パッチテストによって行う。刺激物質は閉鎖貼付できない。必要な場合は,濃度の設定を行い,オープンテストする。

診断のフローチャートを図1に示す3)

 

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