厚生労働省は1日、「通告受理後48時間以内の安全確認ルール」の実施状況の緊急点検の結果を公表した。48時間以内に安全確認が実施されたのは90.9%(13万9617人)、48時間超は7.8%(1万1984人)だった。
厚労省の「児童相談所運営指針」では、虐待通告があった場合、48時間以内に安全確認を行うことが望ましいとしている。政府は昨年7月、目黒女児虐待事件を受けて「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」をまとめ、ルールの徹底を求めてきた。
緊急点検は全国の児童相談所215カ所で実施。18年7月~19年6月の間に15万3571人の子どもに対する通告があった。安全確認の実施が通告受理後から48時間を超えたケースのうち、緊急性が高いと判断されたのは415人、緊急性が低いとされたのは1万1569人だったという。しかし、6月に札幌市で虐待死した女児のケースでは、通告があった際に緊急性が低いと判断されていた。厚労省担当官は、「緊急性の判断が正しかったのか、問われなければならない」との問題意識を提示。調査は今後も実施する方針だとした。
厚労省は同日、医療関係団体などに対し、児相や要保護児童対策地域協議会(要対協)の専門人材確保、速やかな虐待通告の協力を要請する通知を発出したことも明らかにした。
通知では、6月に成立した改正児童福祉法によって児相への医師の配置が義務化されることを踏まえ、児相の専門人材の確保への協力を依頼。また医師は「診療や健診などで虐待を発見しやすい立場」だとして、要対協に参画する意義を強調した。その上で、自治体が行う研修会の受講や、虐待疑い事例の通告を行うよう求めた。