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総排泄腔遺残における結腸利用腟形成術後の妊孕性に関する検討

No.4969 (2019年07月20日発行) P.56

小坂征太郎 (順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科)

登録日: 2019-07-20

最終更新日: 2019-07-16

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【結腸利用代用腟では妊孕性が獲得できない可能性が示唆された】

総排泄腔遺残は,尿道,腟,直腸が1つの総排泄腔(共通管)に開口する先天奇形で,女児鎖肛の特殊型として分類され,頻度は出生5万人に1人とされる。共通管が3cm以上の重症例では結腸(主にS状結腸)利用腟形成術が行われることが多い。しかしながら,総排泄腔遺残患者の長期フォローアップや術後QOLに関する報告は少なく1),結腸利用腟形成術後の妊孕性に関する報告はない。実際,筆者らの施設でも,同患者において自然妊娠,さらには不妊治療でも妊娠成立を認めていない。

そこで今回,筆者らはマウスを用いて,結腸利用代用腟の妊孕性について検討した。雄マウスから抽出した精子を,雌マウスの腟内または結腸内に注入し,それぞれの環境下における精子の生存率,運動率,受精能について検証した。その結果,結腸内環境では精子の生存率,運動率,受精能がいずれも腟内環境に比べて著しく低下しており,結腸利用代用腟では妊孕性が獲得できない可能性が示唆された。今後は,結腸内と腟内環境のどのような違いが精子や受精卵に悪影響を与えるかについて検証したい。

腟形成に用いる代用臓器の見直しとともに,結腸利用代用腟患者において妊娠成立に不利な環境を改善することができれば,現在不妊に悩む同患者に対する新たな治療法になりうるものと考える。

【文献】

1) Rintala RJ:Semin Pediatr Surg. 2016;25(2): 112-6.

【解説】

小坂征太郎 順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科

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