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原発性高カイロミクロン血症診断のコツは?

No.4967 (2019年07月06日発行) P.51

斯波真理子 (国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長)

武城英明 (東邦大学医療センター佐倉病院臨床検査部教授)

登録日: 2019-07-07

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  • 日常臨床において,高トリグリセリド血症の患者は多く認めますが,どのような症例において,原発性高カイロミクロン血症を疑って専門医に紹介すればよいでしょうか。また,原発性高カイロミクロン血症の発症に,どのような分子が関わっているのでしょうか。東邦大学医療センター佐倉病院・武城英明先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    斯波真理子 国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長


    【回答】

    【リポ蛋白リパーゼと併せGPIHBP1,LM F1等の遺伝子異常を確認。問診と総合して診断】

    食事や生活指導,薬物治療を行っても,血中トリグリセリド(TG)値が500mg/dLより下がらない症例は原発性高カイロミクロン血症が疑われますので,専門医に紹介して下さい。とりわけ,血中TG値が1000mg/dLを超える場合は急性膵炎を起こすリスクが高く,迅速に診断し適切な治療が必要です1)。日常診療で,血中TG値に加えて,血中リポ蛋白のひとつであるカイロミクロンの存在を確かめる手軽な方法に血清静置試験があります。一般に500mg/dLを超えるようなTGの高い血清は白濁しています。採血した血清を冷蔵庫で24時間そのまま静置すると,カイロミクロン粒子はきわめて軽いことから上層にクリーム層として分離します。空腹時にもかかわらずクリーム層が認められる場合は高カイロミクロン血症と診断することができます。

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