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亜急性硬化性全脳炎[私の治療]

No.4966 (2019年06月29日発行) P.48

川井未知子 (国立成育医療研究センター神経内科)

久保田雅也 (国立成育医療研究センター神経内科診療部長)

登録日: 2019-07-02

最終更新日: 2019-07-09

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  • 亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)は乳児期に罹患した麻疹ウイルスの脳内持続感染の結果生じる。麻疹罹患3~12年の潜伏期を経て発症し,一度発症すると数カ月〜数年の経過で進行性に経過し,最終的には知的退行,運動機能障害,呼吸・嚥下障害などを呈して全介助が必要となる,予後の悪い疾患である。自然麻疹罹患数万人当たり1人の発症頻度と言われており,麻疹ワクチンが定期接種化されてから減少傾向にあるが,いまだ国内に100例前後の患者が存在する。

    ▶診断のポイント

    【臨床経過】

    症状は進行性で,臨床的にJabbourの病期分類でⅠ~Ⅳ期にわけられている。麻疹罹患の3~12年後に,学力や記憶力の低下,性格変化,転倒のしやすさなどで発症する(Ⅰ期)。この段階では診断がつかないことが多い。知能・運動機能低下は進行し,ミオクローヌスや痙攣を生じるようになる(Ⅱ期)。さらに進行すると,寝たきり,意思疎通困難となり,発汗過多や唾液分泌の亢進など,自律神経症状が著明(Ⅲ期)となる。最終的にはミオクローヌスは消失し,昏睡状態となる(Ⅳ期)。

    【検査所見】

    血清・髄液中の麻疹ウイルス抗体価の特異的上昇,IgG indexの上昇,脳波では周期性同期性放電の出現(Ⅱ~Ⅲ期),頭部MRIでは非特異的ではあるが,病初期より頭頂葉・後頭葉の白質病変がみられる。病状の進行とともに白質病変の拡大と脳萎縮がみられる。

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