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全般不安症(全般性不安障害)[私の治療]

No.4964 (2019年06月15日発行) P.47

大坪天平 (東京女子医科大学東医療センター精神科部長・臨床教授)

登録日: 2019-06-18

最終更新日: 2019-07-09

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  • 全般不安症/全般性不安障害(generalized anxiety disorder:GAD)は,慢性的にコントロールできない心配(予期憂慮)によって,睡眠障害,筋緊張などの身体症状や集中困難をきたす障害で,深刻な社会的・職業的機能障害,他の精神疾患や身体疾患との併存,自殺の危険性の増大につながると考えられている1)。しかし,わが国の臨床現場での認知度は未だに低く,GAD以外の疾患として治療されている場合も多いと考えられる1)

    ▶診断のポイント

    GADの中心症状は心配(予期憂慮)であるが,心配はGAD以外の精神疾患や,身体疾患においてもよくみられる症状である。心配の内容の広がりやそれによる障害度に関し,慎重に診断する。最低限,DSM-52)の診断基準を満たすことが必要である。それによれば,多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配(予期憂慮)が,起こる日のほうが起こらない日より多い状態が少なくとも6カ月にわたり,その不安および心配は,①落ち着きのなさ,緊張感,または神経の高ぶり,②疲労しやすいこと,③集中困難,またはこころが空白になること,④易怒性,⑤筋肉の緊張,⑥睡眠障害,のうち少なくとも3つを伴っていることが条件となっている。また,GADが生涯単独であることは少なく,他の精神疾患との生涯comorbidity率は実に90%と言われ,時点comorbidity率でも65%近くに及ぶ1)。さらに,たとえば,うつ病にGADが併存すると,うつ病は重症化し,治療抵抗性となり,希死念慮を持ちやすくなる点に注意が必要である1)

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