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掌蹠膿疱症の治療戦略をどう立てるか?

No.4962 (2019年06月01日発行) P.47

上原治朗 (旭川医科大学皮膚科講師)

村上正基 (愛媛大学大学院医学系研究科分子機能領域皮膚科学准教授)

登録日: 2019-05-30

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  • 掌蹠膿疱症は,皮膚科外来で稀ならず診療する機会のある疾患です。多くの患者のQOLを阻害する疾患で,様々な治療オプションがありますが,これらをどうやって選別していくか,また,新規の生物学的製剤の使用をどの患者にどのタイミングで導入するのが妥当かについて,愛媛大学・村上正基先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    上原治朗 旭川医科大学皮膚科講師


    【回答】

    【正しい診断なくして治療戦略を立てることは難しい】

    掌蹠膿疱症は手掌足底に生じる無菌性膿疱を主徴とする,いわゆるcommon diseaseのひとつです。皮膚科専門医であれば誰もが患者のニーズに応えるべき疾患ですが,そもそも確定診断がつかないうちに加療が開始され,長期化すると患者が自己中断して他院へかかるというケースがかなり多くみられます。また,初診時あるいは自己中断後の他院再初診時などに,一度でも掌蹠膿疱症と診断されると,その後受診した皮膚科医で診断が変わることは少なく,経過ばかりが非常に長くなってしまうケースも多くみられます。

    正しい診断なくして治療戦略を立てることは難しいので,やはり掌蹠膿疱症以外の可能性を必ず疑い,皮膚生検は積極的に行うべきと考えます。この際,適切な病変,すなわち初期水疱あるいは水疱膿疱を選んで皮膚生検を行うことが重要で1),完成した膿疱(教科書的には典型的とされる膿疱)を生検しても,むしろ鑑別に迷う結果となることがあるので注意が必要です。

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