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■NEWS 応能負担推進には賛成、受診時定額負担には反対―日医・横倉会長、財政審の議論に見解

No.4960 (2019年05月18日発行) P.65

登録日: 2019-05-09

最終更新日: 2019-05-09

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日本医師会の横倉義武会長は8日の定例会見で、財務省が4月23日の財政制度等審議会財政制度分科会で提案した医療制度改革に対する日医の見解を述べた。所得や資産の多寡に応じた自己負担の仕組みには賛成する一方で、外来受診時定額負担などの改革案には「経済格差が健康格差につながりかねず、国民の理解を得られるか疑問がある」として従来通り反対した。

会見で横倉氏は「急激な制度変更を伴う医療費抑制施策を取った場合、7月の参院選で与党は厳しい審判を突きつけられかねない」とし、短期的な財政効果に着目した改革案を牽制。その上で、財務省の提案のうち、金融資産の保有状況を考慮に入れた自己負担の医療保険への導入については、応能負担の観点から「進めていくべき」とした。75歳以上の後期高齢者であっても多くの資産がある場合には、1割以上の自己負担を「求めていかざるをえない」との考えを示した。また、紹介状なしで受診した場合に定額負担の徴収を義務づける病院についても、対象の拡大を検討していく必要があるとの認識を示した。

少額受診への追加負担制に対しては「少額で軽微な受診を抑制すると、高額で深刻な受診が増える可能性がある」との見方を示しつつ、「かかりつけ医の普及にも水を差すことにもなる」として反対を表明した。

横倉氏はこのほか、急性期病床の診療報酬要件のさらなる厳格化を求める主張も問題視。入院医療の評価体系が2018年度改定で大幅に再編・統合されたことに触れ、「医療機関は今まさに自院の将来像を描いて対応を進めているところ。要件を猫の目のように変えるのでなく、中長期的な方向性を踏まえて議論すべきだ」と強調した。

「令和の時代は、社会の格差が拡大しないよう社会保障を充実させ、経済成長を促す取り組みが必要」と話す横倉会長

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