労働政策審議会は11日、染料や顔料などの原料に用いられる芳香族アミン「オルト(o)-トルイジン」に曝される業務によって発症した膀胱癌を、労災補償の対象となる「業務上疾病」に追加する方針を了承し、根本匠厚生労働相に答申した。厚労省は4月上旬をメドに労働基準法施行規則を改正する省令を施行する予定。
o-トルイジンを巡っては、国際がん研究機関(IARC)が2012年に「ヒトに対して発癌性がある」と評価。国内では、福井県の化学工場でo-トルイジンを扱う業務に携わっていた男性従業員らが膀胱癌を発症し、16年に労災を申請。これを受けて発足した厚労省の有識者検討会の報告書では、曝露業務に10年以上従事した労働者が発症した膀胱癌のうち、曝露開始から発症までの潜伏期間が10年以上である場合は「業務が相対的に有力な原因となって発症した可能性が高い」と結論づけている。