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【人】渡辺 守さん「内視鏡を研究に使わないなんてもったいない」

No.4795 (2016年03月19日発行) P.18

渡辺 守 (第102回日本消化器病学会総会会長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2016-12-01

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渡辺 守さん(Watanabe Mamoru)

第102回日本消化器病学会総会会長

1953年茨城県生まれ。79年慶大卒。米国ハーバード大留学を経て、96年慶大がんセンター診療部長、2000年東京医科歯科大消化器内科教授、14年同大附属病院副病院長、16年同大副学長(研究・産学連携担当)。

「内視鏡を研究に使わないなんてもったいない」

第102回日本消化器病学会総会(4月21〜23日)のメインテーマを『クリニカルサイエンスが拓く消化器病学のNew Horizon』とした。「クリニカルサイエンス、つまり“臨床医による基礎研究”が大切だと強調したい。今、消化器内科医は忙しいので日常診療にとらわれがちですが、臨床医ならではの発想が病態解明には必要。ヒトの検体を採取できるのは内視鏡技術が高い日本人の強みです。内視鏡を研究に使わないなんてもったいない」

次世代のリーダー育成もテーマの1つ。シンポジウムは、各領域の重鎮から推薦された期待の若手医師がコメンテーターとして最後に登壇する構成。炎症性腸疾患(IBD)研究で国際的に知られる渡辺さんの人脈を生かして海外の著名な研究者も招聘し、若い医師の研究を触発する総会になることを期待している。

現在も200人以上IBD患者を診療し、クリニカルサイエンスを実践。東京医歯大は国の再生医療実現拠点ネットワーク(10拠点)に選定され、「培養腸上皮幹細胞を用いた粘膜再生治療」を進める。他拠点施設がiPS細胞研究を進める中で、同大だけヒトの幹細胞を使用。内視鏡で採取した組織から腸上皮幹細胞を培養する技術は渡辺さんの研究チームの成果で、2017年に患者に移植する計画だ。「移植後も内視鏡で観察することで、癌化した場合でも早期治療(内視鏡的治療)できる。これは日本人にしかできない再生医療研究です」

臨床に軸足を置く研究姿勢は、自身が幼少の頃から喘息に苦しんだことが原点。この経験から免疫研究を志し、免疫研究を開始したばかりの慶大消化器内科に入局した。

現在は小腸研究にも力を注ぐ。「腸は免疫臓器であり、特に小腸はホルモン産生、神経細胞、血管も多く、全身の機能の司令塔だと考えています。小腸内視鏡で世界をリードする今こそ、日本が取り組むべきテーマです」

後進の研究者たちに「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together!」と呼びかけている。「講演先でも必ず『遠くに行くために皆で頑張りましょう』と話しているので、最近では私が言う前に他の先生に言われてしまいます(笑)」

東京医歯大消化器内科のメンバーと(2011年)。全医局員は270名を超え、日本一医局員の平均年齢が低い消化器内科だ

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