(福岡県 A)
【発症後10年程度は細胞性免疫が持続するものと考えられる】
帯状疱疹に罹患すると,水痘ウイルス特異的な細胞性免疫が賦活されます。ただし,免疫の持続期間は,患者の免疫状態や罹患した帯状疱疹の程度により左右されるので,個人差がかなりあります。
一般に,弱毒水痘生ワクチンを健常人に接種した場合の帯状疱疹予防効果の持続期間は,5~10年程度とされていますが,帯状疱疹に罹患した場合は,ワクチンよりも強い免疫賦活作用が予測されますので,発症後10年程度は細胞性免疫が持続するものと考えられます。すなわち発症後10年間は,帯状疱疹の再発予防効果が期待できる,あるいは罹患しても軽くすむ可能性が高いため,ワクチンを接種するのは,発症後10年目以降でよいものと考えられます。
ただし,やはり免疫応答には個人差がありますので,基礎疾患や薬剤などの影響で明らかに免疫状態が低下している患者には,もっと早めにワクチンを接種しておくほうがよいのではないかと考えます。ただし,明らかに免疫能が低下している患者には生ワクチンは接種できませんので,サブユニットワクチンを使用することになります。サブユニットワクチンは,現在,製造販売承認を受けた段階です。
【回答者】
浅田秀夫 奈良県立医科大学皮膚科教授