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筋強直性ジストロフィーの治療開発

No.4945 (2019年02月02日発行) P.51

中森雅之 (大阪大学神経内科医学部講師)

望月秀樹 (大阪大学神経内科教授)

登録日: 2019-01-31

最終更新日: 2019-01-29

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【異常RNAを標的とした治療法の臨床応用が目前に迫っている】

筋強直性ジストロフィー(MyD)は成人で最も多い筋疾患のひとつであり,筋強直や進行性筋萎縮のほか,心伝導障害や内分泌機能障害,認知機能障害など多彩な全身症状を呈する1)。これまで根本的治療法はなかったが,病態の解明とともに様々な治療アプローチが試みられ,その一部は臨床応用が目前まで迫っている。

MyDは遺伝子上のCTG繰り返し配列の異常伸長が原因である。この異常遺伝子から転写されたRNAが,細胞内のスプライシング機構を乱して様々な症状を引き起こすことが判明している2)。これを受け,異常なRNAを標的とする治療法が開発されている。特に異常RNAを直接分解する核酸医薬は最も有望視されており,既に米国では治験も実施されている。

また,異常RNAに結合してその毒性を中和する低分子化合物の開発も進んでおり,筆者らも多数報告している2)。特に,他疾患に使用されている既存薬で効果があるものも見出しており,今後ドラッグリポジショニングとして早期の臨床応用をめざしている。さらにはMyDでのサイトカイン異常も報告されており3),こちらも治療ターゲットとなる可能性がある。

【文献】

1) Nakamori M, et al:Translational research in mus-cular dystrophy. Takeda S, et al. eds. Springer Japan, 2016, p39-61.

2) 中森雅之, 他:医のあゆみ. 2016;259(1):58-64.

3) Nakamori M, et al:Cell Rep. 2017;21(5):1240-52.

【解説】

中森雅之*1,望月秀樹*2  大阪大学神経内科 *1医学部講師 *2教授

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