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【人】成瀬暢也さん「居場所と安心感の提供こそ薬物依存症治療」

No.4750 (2015年05月09日発行) P.10

成瀬暢也 (薬物依存症専門医)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-20

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  • 成瀬暢也さん(Naruse Nobuya)

    薬物依存症専門医

    1960年富山県生まれ。86年順天堂大卒。同大病院を経て、90年埼玉県立精神保健総合センター(当時)開設と同時に勤務。95年同センター依存症病棟に配属。2008年より埼玉県立精神医療センター副病院長。

    「居場所と安心感の提供こそ薬物依存症治療」

    アルコールや覚醒剤、危険ドラッグから脱け出せない患者たちを「よく来たね」と迎え、「また来てね」と握手して帰す。そんな成瀬さんの外来は「ようこそ外来」の異名を持つ。

    ミーティング形式の治療プログラムでは、再び薬物に手を出した患者がいても決して責めず、正直に話せたことを称え「おめでとう」と拍手を送る。プログラムに出た患者にはシールや賞状を渡す。「50代の男性でもシールをもらう列に並びます。小さなご褒美が治療継続の動機づけになるのです」。9カ月間のプログラムで約6割が薬物をやめるという。

    薬物依存症患者の多くは成育環境に問題があり、「人を信じられない」「見捨てられたくない」といった悩みを抱える。「だからこそ心を開いてもらえる環境づくりが大切です。『北風と太陽』の北風のように薬物を引き剝がすのではなく、太陽のように居場所と安心感を提供する。それが依存症治療と考えています」

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