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フランス語の患者[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.78

鈴木好夫 (内科すずきクリニック院長)

登録日: 2019-01-05

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私は留学がパリ大学の2年間であったのとフランス好きで、私のクリニックの診療日時の看板に“On parle français”と書いておいた。東京都医療機関・薬局案内サービスの「ひまわり」に日常会話程度のフランス語可に○をしてある。安政五カ国条約でフランスと外交関係を樹立し、昨年で160年、皇太子殿下訪仏の行事で殿下はフランス語で8分間の御挨拶をなされた。私はマイクリニックを受診したここ6年間のフランス人患者とフランス語圏の患者を数えてみた。全部で32人で、男もいれば女もいる。乳幼児、コレージュ・リセの学童、学生もいる。32人のうち21人が日本の保険証持参、残り11人は自費診療である。リピート家族もいる。

私のフランス語診療のprincipeは患者の言うところを正確に理解し、私の診察を正確に伝えることだ。診療内容は実に多岐。のど、咳、腹痛、下痢、蟯虫、メラノーマ、リンゴ病、膿瘍、膀胱炎、腰痛、白癬、ワクチン接種、健康診断、旅行者、なんでもある。フランス語圏アフリカからのヘテロ鎌状赤血球症の患者には私は勉強が必要であった。健康診断の色覚検査希望者もいたのでアンテルナシオナルな色覚表を備えた(高い)。保険証、母子健康手帳、保健所の係りの人、生活保護などのフランス語は、私のフランス語の先生であるフランス人から教わった。フランス語で診療しても医療費は保険医療費のまま、自費の患者は保険医療費の10割負担である。

最近医療通訳と言って高額な世界がある。私のフランス語の患者を東京の大病院、大学病院の「医療連携室」に紹介すると、通訳者の同道を求められるか外部の営利医療通訳の紹介がなされる。医療通訳に公的資格はない。外国語診療部を置く病院であって責任者に医者を置くが、医師の診療とは異なり実務は看護師、事務、メディカルスタッフの方である。医療外国語リテラシーに私たち医師は油断やスキはないのだろうか。

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