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■NEWS 予防医療の医療費削減効果に「過大な期待すべきでない」─財政審建議

No.4936 (2018年12月01日発行) P.19

登録日: 2018-11-21

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財政制度等審議会(会長=榊原定征:東レ相談役)は20日、2019年度予算編成に関する建議を取りまとめ、麻生太郎財務相宛てに提出した。給付と負担のバランスのとれた全世代型社会保障の実現に向け、予防医療の促進を「重要な課題」に位置づける一方で、その医療費削減効果には「過大な期待を抱くべきではない」と指摘。健康予防施策の将来的効果を前提に、社会保障の歳出改革の手を緩めるべきでないと釘を刺した形となっている。

予算編成における社会保障関係費の伸びを巡っては、2016~18年度の3年間にわたり「高齢化による増加分」(5000億円)に収める方針が継続されてきた。建議では、この方針を19年度も踏襲するよう求めている。

消費増税に伴い医療機関が負担する仕入税額相当額(控除対象外消費税)に関しては、診療報酬での補塡を念頭に「医療保険制度内での対応とすべき」との見解を明示。各科間、病院・診療所間においてそれぞれの仕入税額相当額の総額に基づき財源配分を行った上で、「できる限り精緻な対応」とすることを求めた。医療界は個別の医療機関間の補塡のバラツキを是正するため、税制措置の新設を求めているが、建議では特に言及していない。

高額となることが見込まれる新規医薬品・医療技術については、保険収載の可否を判断する基準として、安全性・有効性のほかに費用対効果や財政影響の視点を加えることを提言。このほか、▶都道府県が地域別診療報酬を活用するための枠組み整備、▶かかりつけ医以外受診時の定額負担の導入、▶高額医療機器の設置に対する規制の導入、▶75歳以上の医療費自己負担率2割への引上げ―などの歳出改革項目を挙げ、着実な実行を迫っている。

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