株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

糖尿病 [今日の新しい臨床検査─選び方・使い方(2)]

No.4770 (2015年09月26日発行) P.36

監修: 前川真人 (浜松医科大学医学部臨床検査医学教授)

釣谷大輔 (浜松医科大学医学部附属病院検査部 )

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-13

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 1. 糖尿病の診断の流れ

    糖尿病の診断のための検査,診断基準の詳細については,日本糖尿病学会『糖尿病治療ガイド2014─2015』を参照して頂きたい。糖尿病の臨床診断の手順は図1 1)の通り。

    2. 糖尿病の検査

    1 血糖値の検査

    (1)空腹時血糖値

    空腹時血糖値は検査前夜の夕食後から絶食し,翌日の朝食前の空腹時(8~10時間程度の絶食期間後)に検査した血糖値で,正常型110mg/dL未満,境界型110~125mg/dL,糖尿病型126mg/dL以上である。空腹時血糖値100~109mg/dLは「正常高値」で,注意を要する。この集団は糖尿病への移行や経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)時の耐糖能障害の程度からみて多様な集団であり,OGTTが推奨される。

    (2)随時血糖値

    随時血糖値は,食事と採血時間との時間関係を問わず測定した血糖値である。200mg/dL以上の場合は糖尿病型となる。

    (3)75gOGTT

    ①被検者を朝まで10時間以上絶食の後,空腹のまま来院させる。
    ②空腹のまま採血し,血糖値を測定する。
    ③ブドウ糖(無水ブドウ糖75gを水に溶かす。一般的にはトレーラン1397904493G)を飲用させる。
    ④ブドウ糖負荷後,30分,60分,120分に採血し血糖値を測定する。
     〔空腹時と30分後はIRI(後述)も測定する〕
    ⑤‌空腹時血糖値(126mg/dL以上)と75gOGTT(空腹時,または負荷後120分血糖値200mg/dL以上)による判定基準に従い,糖尿病型・正常型・境界型のいずれかに分類。
    【75gOGTTが推奨される対象】
    ①強く推奨される場合
     ・空腹時血糖値110~125mg/dL
     ・随時血糖値140~199mg/dL
     ・HbA1c 6.0~6.4%(明らかな糖尿病の症状が存在するものを除く)
    ②行うことが望ましい場合
     ・空腹時血糖値100~109mg/dL
     ・HbA1c 5.6~5.9%
     ・上記以外でも濃厚な糖尿病の家族歴や肥満が存在する場合

    残り4,743文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top