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痒疹の分類と治療のコツは?

No.4930 (2018年10月20日発行) P.57

橋爪秀夫 (市立島田市民病院皮膚科/副院長)

佐藤貴浩 (防衛医科大学校皮膚科学講座教授)

登録日: 2018-10-18

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  • 日常診療で苦労している痒疹の分類と治療のコツを教えて下さい。防衛医科大学校・佐藤貴浩先生にご教示をよろしくお願いします。

    【質問者】

    橋爪秀夫 市立島田市民病院皮膚科/副院長


    【回答】

    【急性期のステロイド外用に効果あり】

    2012年に日本皮膚科学会から発行された「慢性痒疹診療ガイドライン」における分類では,痒疹を個疹の経過からわけています。急性痒疹は滲出傾向のある丘疹や漿液性丘疹で,個々の病変は1〜2週間で消退に向かうものです。虫刺されをイメージして頂ければよいと思います。慢性痒疹は個疹が数カ月にわたって持続するもので,その代表は結節性痒疹です。不規則な表皮肥厚がみられ,真皮にも大なり小なり線維増殖性の変化を伴います。

    しかし,これら以外の痒疹も臨床の現場では非常に多く,亜急性痒疹として包括しています。かつてlichen urticatusやprurigo simplex subacutaなどと言われてきたものです。やっかいなのは多形慢性痒疹です。これは高齢者の腰部,臀部に好発し,蕁麻疹様丘疹から充実性の真皮性丘疹になっていきます。痒疹としては例外的に集簇,苔癬化を起こします。この病型・病名は海外では認知されていません。病変は慢性痒疹に相当しないのですが,慢性経過をたどることから便宜上,慢性痒疹に分類されています。しかし,これらの分類法にはいまだ問題が多く残されており,現在改訂案が検討されています。

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