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しびれ[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(10)]

No.4706 (2014年07月05日発行) P.50

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

北 和也 (奈良県立医科大学感染症センター)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • 病 歴

    53歳,塗装業の男性。“数日前からの手のしびれ”を主訴に総合診療外来を受診した。右手根管症候群の既往がある。

    スナップ診断

    来院時の問診票からわかったのは上記の情報のみであった。患者を診察室に案内する前に想起した疾患は手根管症候群,頸椎ヘルニアで,見逃してはならない疾患が脳血管障害である。その他,有機溶剤中毒も考えられる。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    まず,既往があること,手をよく使う職業であること,common problemであることから,手根管症候群を考えた。また,職業歴から有機溶剤中毒を連想した。そして,最も見逃したくないしびれの筆頭に脳血管障害がある。
    これから患者に入室してもらうが,最も気になるのはしびれのOnset(発症様式)と分布である。すなわち,突発/急性/亜急性/慢性,いずれなのか,発症は両手なのか片手なのか,ほかにも分布しているのか,である。さらには,そもそも患者の訴える“しびれ”は,筆者が想定しているようなピリピリした異常感覚のことなのか,そして,手根管症候群の既往とはいつのことか,その際,適切な治療は受けたのか,も考える。
    突発〜急性発症かつ片側のしびれであれば脳血管障害の可能性が増し,慢性で両側性であれば有機溶剤中毒などの全身性疾患が考えやすい。しびれが利き手だけに限局し,かつ症状を繰り返している場合は,手根管症候群の可能性が増す。頻度から頸椎ヘルニア,緊急性から急性動脈閉塞症も頭の片隅に置いた。

    私のクリニカルパール

    そもそも患者の訴える“しびれ”が何を指しているのかをまず確認する。そして,Onset,分布(特に片側か両側か)で疾患にあたりをつける。

    残り3,733文字あります

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