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単関節痛[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(5)]

No.4699 (2014年05月17日発行) P.44

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

上原元太 (沖縄県立中部病院腎臓内科)

金城光代 (沖縄県立中部病院腎臓内科)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-04-05

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  • 病 歴

    41歳,男性。主訴は発熱と左膝関節痛。来院当日より発熱し,左膝関節の腫脹と関節痛が出現したため,救急室を受診した。

    スナップ診断

    「41歳,男性,発熱+急性膝関節炎」では,まず痛風や化膿性関節炎などが考慮される。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    まず,急性(6週以内)の単関節炎であることに注目する。単関節炎をみた場合,急性か慢性かによって鑑別診断が異なる。急性の単関節炎であれば,まず外傷を除外したい。また,24時間以内に,急激に症状が出現している場合は,痛風や化膿性関節炎を考えなければならない。
    悪寒戦慄の有無は感染症を診断する上で参考になる。本症例は若年なので,淋菌性関節炎などの性感染症も意識する。可能であれば,最近の性交渉歴について問診する。淋菌性関節炎は診察時に単関節炎であっても,その後,他関節に炎症が移動するという特徴があるため,関節炎の移動の有無も問診する。
    医原性の関節炎については,不潔操作による関節注射は化膿性関節炎のリスクであるため,その有無を確認する。免疫抑制の有無は感染症リスクを決める上で重要であるため,免疫抑制剤服用歴を確認する。また,感染症リスク因子である糖尿病の既往歴も確認する必要がある。
    結晶誘発性関節炎(痛風,偽痛風)については,飲酒の有無や痛風発作の既往歴を確認する。偽痛風は膝に多い。関節リウマチも急性の単関節炎で始まることがあり,特に膝から発症する場合が数%ある。一般的にはその後,数カ月以内に手を中心とした小関節炎を呈する。

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