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長期療養時代のHIV感染症/AIDSマニュアル

都立駒込病院30年間の診療エッセンスを結集

定価:7,480円
(本体6,800円+税)

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編著: 味澤 篤(東京都保健医療公社豊島病院 副院長)
判型: B5判
頁数: 268頁
装丁: 2色刷
発行日: 2014年08月10日
ISBN: 978-4-7849-5494-0
版数: 第1版
付録: -
・抗HIV療法(ART)の進歩でHIV感染者の予後が改善した反面,内分泌疾患,腎疾患,心血管疾患,骨疾患,肝疾患など,非HIV感染者と同様の様々な長期合併症が問題となっており,それに伴う死亡例が増加しています。その解決にはHIV感染症/AIDS診療の枠を越えた広い知識が必要となります。
・本書は各種の長期合併症にどのように対応し,どの時点で専門医に相談するのかという問題に加え,よくみられるAIDS疾患/状態,検査,口腔ケア,曝露後予防など,HIV感染症/AIDS診療全体を通して必要な最新情報を記載。がん・感染症センター都立駒込病院30年間の診療エッセンスを結集しました。
診療科: 内科 感染症

目次

1. 総 論
1. HIV感染症/AIDSの経過
2. 検 査

2. HIV感染症/AIDSで問題となる長期合併症
1. 内分泌疾患
1)糖尿病
2)脂質異常症
2. 腎疾患
1)慢性腎臓病(CKD)
2)高血圧症
3. 心血管疾患
1)虚血性心疾患
2)脳梗塞
4. 骨疾患(骨代謝異常)
5. 口腔ケア
6. 肝疾患
1)B型肝炎
2)C型肝炎
7. 非AIDS指標悪性腫瘍
8. 精神障害
9. 薬物乱用・依存
10. 禁煙指導

3. AIDSに合併する主な疾患・状態
1. 真菌疾患
1)ニューモシスチス肺炎
2)カンジダ症
3)クリプトコッカス症
2. 細菌疾患
1)結 核
2)播種性マイコバクテリア・アビウム症
3)サルモネラ菌血症
3. 原虫疾患
1)トキソプラズマ症
2)クリプトスポリジウム症
3)イソスポラ症
4. ウイルス疾患
1)サイトメガロウイルス感染症
2)単純ヘルペスウイルス感染症
3)進行性多巣性白質脳症
5. 腫 瘍
1)AIDS関連悪性リンパ腫
2)カポジ肉腫
6. HIV関連神経認知障害

4. その他
1. HIV感染者とワクチン接種
2. 曝露後予防

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序文

HIV感染症の状況は大きく変化しています。試しに次の(1)?(3)を読んでみて下さい。

(1)先進国で治療を受けているHIV感染者の多くは,日和見感染症で死亡する。

(2)HIV感染者の糖尿病発症率は,非HIV感染者と変わりがない。

(3)HIV感染者の骨粗鬆症は,非HIV感染者同様,女性に多い。

€どうでしたか? 実は上記はいずれも正しくありません。

確かに抗HIV療法(ART)の進歩でHIV感染者の予後は改善しました。米国での報告によると,HIV感染症と診断されてから早期にARTを開始した群の平均余命は,非HIV感染者と変わりがないと言われています。しかしHIV感染者における医学的な問題点がなくなったわけではありません。現在,内分泌疾患,腎疾患,心血管疾患,骨疾患,肝疾患など,非HIV感染者と同様の様々な長期合併症が問題となっており,それに伴う死亡例が増加してきています。長期合併症は,(1)HIV感染自体,(2)HIV合併感染症,(3)HIV感染者のライフスタイルなどによって,非感染者よりも高率に引き起こされると考えられています。したがって,その解決にはHIV感染症/AIDS診療に関わる多くの医療者の協力が不可欠です。HIV感染症/AIDS診療を受けている患者に生じたこれら長期合併症に,まずどのように対応するべきなのか,どの時点で専門医に相談したらよいのか,また合併症自体の最新知識はどうなっているのかについて,診療に関わる主治医およびチーム医療者が知っておく必要があります。

€本書は「総論(HIV感染症/AIDSの経過,検査)」「HIV感染症/AIDSで問題となる長期合併症」「AIDSに合併する主な疾患・状態」「その他(HIV感染者とワクチン接種,曝露後予防)」から構成され,長期合併症の問題に加えて,HIV感染症の検査,よくみられるAIDS疾患・状態,ワクチン接種,曝露後予防など,HIV感染症/AIDS診療全体を通して必要な最新情報が記載されています。

各領域については実際にHIV感染者の診療にあたっている先生方にご執筆の労をとっていただきました。ある意味で,私が昨年度まで勤務したがん・感染症センター都立駒込病院の30年間にわたるHIV感染症/AIDS診療のエッセンスを結集したもので,長期に診療を行っていくと必ず遭遇する様々な問題の解決に役立つものと確信しています。HIV感染症/AIDS診療に関わる主治医だけでなく,看護師,薬剤師,医療相談員,カウンセラーなどの多くの職種の方にとっても,今後のHIV感染症/AIDS診療で取り組むべき方向性がわかるガイドになることでしょう。

€多くの医師や医療スタッフの方が,本書を活用して参考にして頂ければ幸いです。

€

2014年7月 味澤 篤

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レビュー

【書評】長期療養時代のHIV感染症診療を担う医療従事者に向けた一書

青木 眞 氏(感染症コンサルタント)
1980年代半ば、「AIDS」という言葉は2〜3年の平均余命と同義であった。しかし90年代の半ば、HAART(highly active anti-retro viral therapy)と呼ばれる強力な治療法が生まれ、それ以降のHIV感染症診療は劇的に変化した。HIV感染者も天寿を全うするようになったのである。当初、高い専門性を必要とされた抗HIV薬の選択・組み合わせもきわめてシンプルになり、副作用の少ない服用しやすい処方が可能となった。

長期生存が可能となれば当然、長期療養を要する感染者の数は増加し、診療を担う医療従事者を増やすことが重要となる。その意味で、これからはHIV感染症を特別扱いせず、一般感染症の1つ、そして総合診療、プライマリ・ケアの対象として取り扱うことが医療体制上も健全である。今、HIV感染症は大きなパラダイムシフトを必要としている。

長期療養時代の到来とともに新しい問題も生まれた。それは、生活習慣病や高齢化といった内科一般に広がる様々な病態である。一例を挙げれば、HIV感染者は動脈硬化の進行が早く、心筋梗塞、脳血管障害、慢性腎臓病などを発症する。となれば、その診療は糖尿病と同様、循環器や腎臓内科といった各診療科の協力なくしては成り立たないだろう。悪性腫瘍の発症も多い。合併症の予測、専門家へのコンサルテーションなども今後のHIV感染症診療の重要な部分を占める。

HIV感染症が長期療養疾患となった今日、その診療を多くの医療従事者が広く担えるようにすることが喫緊の課題である。このような時期、治療薬が皆無の時代からHIV感染症診療を担ってきた味澤先生と、都立駒込病院で氏から薫陶を受けた門下生により本書が上梓されたことは、まさに時宜を得たものである。多くの医療従事者がHIV感染症の「今」を概観する本書に出会い、「長期療養時代のHIV感染症診療」の一翼を担ってくださることを期待している。

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