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旅行医学

海外でのあらゆる疾患に対応する一冊!

定価:2,750円
(本体2,500円+税)

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著: 海老沢功(元 東邦大学公衆衛生学教授)
判型: A5判
頁数: 230頁
装丁: 単色
発行日: 2003年07月31日
ISBN: 4-7849-3056-6
版数: 第1版
付録: -

増加の一途をたどる海外旅行者,駐在者を診断・治療する際,日常診療でなじみのない不思議な症例に出合った場合にすぐに役立ちます。
国内外の関連学会・団体,海外の医療施設,世界の医療情報の入手法等,いざというときに頼りになる情報も満載!
旅行者の下痢症,高山病や潜水病まで,海外でかかりうる様々な病気を網羅。

診療科: 社会医学

目次

1 海外旅行・勤務が決まった時の準備
1 一般的注意
2 海外で問題となる病気の概略
a)旅行先の分類AとB,マラリアの予防対策
b)予防注射と海外旅行に必要な医薬品
c)高齢者と胃切除者の旅行
d)脾臓摘出者の旅行
e)その他の病気
3 海外旅行前の健康診断と外国生活の指導
a)海外出張者の健康診断
b)OBMコーポレーション
4 帰国後の身体検査と発病時の受診病院
5 事故と旅行保険
a)旅行保険の加入
b)医療費
c)救援者派遣費用
d)損害賠償保険
6 海外における日本人が受診しやすい医療施設
7 外国生活時の不便の解消対策
a)時差の計算法
b)摂氏と華氏表示の変換法
c)メートル法以外の度量衡の表示

2 渡航先の衛生状態による健康管理対策
I. 衛生状態による渡航先の分類AとB
1 水道水の適否による分類
2 水道水が安心して飲めるA地域について
3 水道水が安心して飲めないB地域について
II. 衛生状態のよいA地域旅行時の注意
1 水の問題
2 食 物
a)生鮮食品と肝炎
b)ビーフステーキと無鈎条虫症
c)刺身と胃アニサキス症
d)鶏 卵
e)乳製品
f)大腸菌O157:H7による食中毒と溶血性尿毒症症候群
g)食物の量
3 予防注射
a)破傷風
b)その他のワクチン
4 動物から感染する病気
a)狂犬病
III. 衛生状態の悪いB地域旅行時の注意
1 水の問題
2 食 物
a)生鮮食肉,魚介類
b)乳製品
c)新鮮果実類
3 発展途上国の便所と排便後の始末
a)排便後尻を紙で拭かない
b)東南アジア人の消化器感染症の現実
4 予防注射
a)破傷風
b)ジフテリア
c)A型肝炎
d)日本脳炎
e)乳幼児の予防注射計画
5 動物から感染する病気
a)狂犬病
b)節足動物媒介疾患

3 海外で特に注意すべき疾患 腸管系感染症
I. 旅行者下痢症の予防と治療
1 旅行者下痢症の頻度,起因菌と原因食品
a)頻 度
b)起因菌
c)日本人旅行者下痢症の起因菌
d)原因食品
2 旅行者下痢症の治療
3 旅行者下痢症の予防内服薬
4 旅行者下痢症に関するいくつかの話題
a)Cyclospora cayetanensis感染症
b)胞子を形成する消化管寄生原虫
c)コレラに関する話題
d)ギアルジアの集団感染
e)水道管と下水管が結合していたホテルで起きた集団下痢症
5 ポータブル簡易水浄化器について
6 化学物質による水の殺菌
II. 旅行者下痢症以外の腸管感染症
1 旅行者下痢症の残された問題
a)避け難かった事件
b)サルモネラ菌の再排菌
c)下痢症の慢性化
d)慢性下痢症病因の新顔
2 旅行者下痢症以外の腸管感染症
a)頻 度
b)ヨーロッパの腸チフス患者
c)日本の腸チフス患者
d)腸チフスとA型肝炎の混合感染
e)赤痢菌の薬剤耐性
f)コレラ菌の感染力とコレラ治療の進歩
g)生肉と条虫,旋毛虫感染,狂牛病の問題
3 A型肝炎の現状と予防ワクチンの開発
a)A型肝炎の現状
b)欧米におけるA型肝炎ワクチンの開発状況
c)日本のA型肝炎ワクチン研究

4 海外で特に注意すべき疾患 2 マラリア
I. マラリアの予防
1 マラリアの病原体とそれによる病気
2 マラリア原虫の人体内発育環
3 マラリア予防の基本方針
4 マラリア予防薬の内服
5 予防内服薬の種類と成人の用量
a)クロロキン
b)メフロキン
c)プログアニル
d)ピリメタミン
e)ドキシサイクリン
f)ファンシダール
g)マロプリム錠
h)マラロン
6 マラリア予防薬の内服期間
7 マラリア予防薬の選択
8 クロロキン耐性の分類
9 マラリア原虫検出の限界
 10 マラリア予防上の流行地の分類
 11 その他の留意すべき事項
 12 帰国後発病時の対策
II. マラリアの治療
1 マラリア治療薬の使用目的別分類
2 マラリア治療薬の使用法と副作用
a)クロロキン
b)キニーネ
c)キニーネの点滴静注療法と腎不全対策
d)メフロキン
e)ファンシメフィ
f)ファンシダールィ
g)メタケルフィンとST合剤
h)ハロファントリン
i)青蒿素(チンハオス)
j)アモジアキン
k)キニジン
l)ドキシサイクリン
3 マラリアにおける再燃と再発の問題
4 三日熱と卵形マラリアの根治療法
5 熱帯熱マラリア生殖母体の駆除
6 抗マラリア薬の構造,作用機序,副作用など
7 マラリア患者治療時の注意事項
8 マラリア治療薬の選択
9 小児の薬用量
 10 帰国後発病時の対策
a)診断の確定
b)マラリアの緊急治療薬剤
 11 熱帯熱マラリア瀕死の重症と死亡の実例
 12 受入れ側の態勢

5 外国旅行と予防注射,携行医薬品
I. 外国旅行時に必要な予防注射
1 国際検疫法で要求されている予防注射
黄 熱
付:コレラとペストのワクチン
2 個人衛生の観点から勧められる予防注射
a)破傷風
b)A型肝炎
c)狂犬病
d)日本脳炎
e)小児期の予防接種計画
f)ポリオとポリオワクチンについて
3 その他のワクチン
a)腸チフス弱毒生ワクチンと腸チフスポリサッカライドワクチンTyphimViの開発
b)流行性髄膜炎菌とそのワクチン
c)ダニ媒介脳炎とそのワクチン
4 妊婦の予防注射について
II. 外国旅行に必要な医薬品
1 一般的な薬剤
2 下痢緊急治療薬
3 下痢症の対症療法
4 マラリアの予防と緊急治療薬
5 乗り物酔いの薬
6 睡眠・安定剤・精神科疾患治療薬
7 高山病治療薬
8 包帯,絆創膏とはさみ

6 海外で特に注意すべき疾患 3 皮膚から感染する病気
1 マラリア以外の寄生虫による病気
a)住血吸虫症
b)鈎虫症
c)糞線虫症
d)糸状虫症
e)トリパノゾーマ症
f)リーシュマニア症
2 リケッチアと細菌による病気
a)リケッチア性疾患
b)ライム病
c)エーリッキア病
d)細菌による疾患:ワイル病とペスト
3 黄熱以外のウイルスによる病気
a)デング熱
b)その他のアーボウイルス病
4 毒蛇咬傷その他
5 毒グモ,毒ガなど
a)セアカゴケグモその他
b)有毒ガその他有毒昆虫

7 海外で特に注意すべき疾患 4 その他の疾患
I. 外国旅行と呼吸器感染症
1 飛行機による旅行と結核菌感染
a)事例1:HIVと結核菌陽性の留学生
b)事例2:薬剤耐性結核菌陽性の旅客
c)事例3:結核菌陽性の機内乗務員
2 外国人労務者の肺結核
a)肺結核労務者の入国
b)現地で雇用する人の肺結核
3 結核以外の呼吸器疾患
a)レジオネラ症
b)Q 熱
c)ヒストプラズマ症の集団発生
d)コクシジウム感染症
e)水 痘
f)SARS
II. エボラ,ラッサなどのウイルス性出血熱
1 ウイルス性出血熱の種類と病原ウイルス
2 流行性出血熱の主な症状
3 2,3の疫学的特徴とその対策
4 日本国内唯一のラッサ熱患者
III. 外国旅行と性病,HIV感染
1 問題になる病気
a)古典的性病
b)HIV感染症
2 アフリカにおけるHIV感染の蔓延状況
a)アフリカ諸国の高いHIV感染率
b)その他の地域のHIV感染状況
3 HIV感染者の外国旅行
IV. 外国旅行と輸血,注射針
1 輸血マラリアとその実例
a)症例1
b)症例2
c)フランスの輸血マラリア
2 HIV感染
3 その他の感染症
a)B型肝炎
b)シャガス病
4 その他のルートによる感染の機会

8 外国旅行中と帰国後の事故,疾病対策
I. 高山病と潜水病
1 高山病の概略
a)高山病の成因
b)高山病の症状と治療
c)高山病の頻度
d)世界主要都市の高度
e)高山病以外の病気
f)高山特有の事故
2 潜水病の概略
a)潜水病の成因
b)潜水病の症状
c)潜水病の緊急治療
d)潜水病以外の事故
e)珊瑚礁の危険な生物
II. 外国旅行中の疾病,事故と旅行保険
1 事故の内容
a)飛行機旅行と気圧関連疾患
b)ロングフライト血栓症
c)危険な便所の真空装置
d)交通事故
2 事故の頻度
a)発展途上国滞在者の健康管理成績
b)慢性疾患患者の常用薬の持参
3 発病,事故発生時の対応策と旅行保険の問題
a)外国で発病時に医師の診察を受ける基準
b)受診すべき医師の選択
c)事故発生時の緊急輸送の実情
d)緊急事態発生時の救出施設
4 医療情報の入手
5 旅行者病の鑑別診断
III. 寄生虫・原虫薬の解説
1 原虫類感染症の治療薬
a)マラリア
b)腸アメーバ症とアメーバ性肝膿瘍
c)ランブル鞭毛虫(ギアルジア)症
d)リーシュマニア症
e)トリパノゾーマ症
f)トキソプラズマ症
g)ニューモシスチス・カリニ肺炎
h)その他
2 条虫類に対する薬剤
3 吸虫類に対する薬剤
4 線虫類に対する薬剤
5 抗原虫・寄生虫薬の入手法

9 旅行医学に関する各種情報
I. 旅行医学に関する情報収集法
1 医師その他の指導者の情報獲得
a)米国アトランタにあるCDCの情報提供
b)旅行医学診断・治療用のソフトウエア
c)インターネット
2 外務省在外公館医務官情報,世界の医療情報の詳細
a)地域別情報記載国名
b)記載事項
3 旅行医学,およびその基礎となる国際・国内関連学会
4 旅行医学関連施設とその連絡所
a)旅行出発前に接触すべき施設
b)海外における日本人が受診しやすい医療施設
c)緊急事態発生時の救出施設"

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レビュー

書評

山本俊一(東大名誉教授)
最近は海外旅行が盛んである。旅行先は韓国、台湾、グアム、ハワイ、米国、ヨーロッパが多いが、旅行回数を重ねるとだんだんと月並みの観光地では満足できず、あまり人の行かない土地に行きたくなるのが人情である。
そうなると多くの場合、旅行先は開発途上国となり、日本には既になくなった、あるいは稀な特殊な感染症の流行する土地に赴くことになる。感染症に関して無知な日本人旅行者がこのような国に入る時には、流行病に感染する危険が大きい。したがって、旅行者自身が、それについて最低限の知識を持ち、わが身を守ることが望ましい。
本書には、どの地方にはどのような感染症が流行しているかが記されており、その意味では、途上国に旅行を計画する人にとっては必要な啓蒙書である。
だが私はそれ以上に、本書を全国の臨床医に御一読をお薦めしたい。その方たちは今や、国内の病気だけを知っているのでは不十分であって、世界の病気の分布を知った上で海外旅行に出かける人の良きコンサルタントとなり、また、旅行から帰ってきた人の病気を早期に的確に診断できなければならないと思うからである。

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