2026年度薬価制度改定において、いわゆる「オーソライズド・ジェネリック(AG)」の薬価上の取り扱いが新たに設けられた。具体的には、後発医薬品として承認された「後発バイオ医薬品(バイオAG)」を含むAGについて、新規収載時には先発医薬品と同額の薬価とし、薬価改定時には先発医薬品とAGの薬価を加重平均して価格帯を集約する仕組みとなった。
AGおよびバイオAGの問題については、本稿でも繰り返し指摘してきたところであり、AGについては先発医薬品と同一薬価とすべきであると提案してきた(No.5030、No.5031、No.5040)。その意味では、厚生労働省および中医協が5年以上にわたり問題を放置した末に、結果的に筆者の提案と同様の対応に至ったことについて、呆れつつも一定の評価はできる。
しかしながら、厚生労働省はこれまでも「AGは定義できない」と言い逃れを続けており、今回もAGを明確に定義しないまま、「薬価基準収載希望書にAGであるか否かを製造販売企業が記載する」ことを求めるという、自己申告に依存した運用とした。
確かに、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」上の医療用医薬品の承認申請区分には、AGに該当する区分は存在しない。厚生労働省はこの点について明確な説明を行っていないが、実務上はAGの多くが、いわゆる「小分け」として承認されている(ただし、一部には生物学的同等性試験を実施し、後発医薬品として承認されているものもある)。
そもそも、薬機法上の承認申請区分として存在しない「AG」という概念を用いて販売促進を行う企業の広告・表示行為を事実上黙認してきた厚生労働省監視指導・麻薬対策課の対応にも問題があると言わざるをえない。
薬価算定上、何を「後発医薬品」として扱うのかについても、従来、ルールはあいまいであった。AGの多くは先発医薬品の「小分け」として承認されているにもかかわらず、薬価上、後発医薬品として収載してきた法的・制度的根拠は十分に説明されてこなかった。薬機法上の承認申請区分として存在しない「AG」という概念を前提に、薬価制度だけで独自の対応を設けること自体が、制度のねじれを生む。今回も、どの製品をAGとして扱うのかが明確に定義されないまま、製造販売企業の自己申告にゆだねる仕組みとされたことは、問題の先送りにすぎず、かえって企業に新たな「抜け道」を与える結果となるおそれがある。
一方、2025年の後発医薬品の増産支援を目的とした「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所法(基盤研法)」の改正において、後発医薬品の定義を新たに設けたとしている。しかし、この定義はあくまで基盤研法に基づく支援対象を特定するためのものであり、薬価算定上のAGやバイオAGの扱いについては、依然として不明確である。後発医薬品、AG、バイオAGのいずれについても、規制の根拠となる法律間で十分な整合性が取れていないことこそが問題の本質である。
「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」においても指摘してきた通り、AGであるかどうかは、当該製品の製造販売企業が先発企業に対して何らかの金銭的対価を支払っているかどうかによって、客観的に判断することができる。したがって、薬価算定において何をAGとして扱うのかを、この基準に基づいて明確に定義することが求められる。
坂巻弘之(一般社団法人医薬政策企画P-Cubed代表理事、神奈川県立保健福祉大学シニアフェロー)[オーソライズド・ジェネリック医薬品]