コウノメソッドでみる 認知症診療<第2版>
コウノメソッドの入門書,待望の全面改訂!
目次
Ⅰ.診断編
1.認知症の定義とその限界
2.認知症と紛らわしい病態
3.知能検査
4.認知症を診ることを決断するとき
5.認知症診療の流れ
6.問診から得られる「決め手」
7.診察室で得られる「決め手」
8.精神疾患との鑑別
9.応急処置
10.認知症の精密な病型鑑別
11.神経変性疾患の病因蛋白
12.診断の武器
Ⅱ.治療編
1.治療を始めるにあたって
2.治療の開始
3.コウノメソッドとは
4.抑制系薬剤の使用法
5.中核薬の使用法
6.興奮系薬剤の使用法
7.病型別処方術
8.コウノカクテル(点滴療法)
9.迷ったときの「正攻法」
Ⅲ.認知症の合併症
1.パーキンソニズム
2.不 眠
3.REM睡眠行動障害
4.レストレスレッグス症候群
5.ビタミン欠乏
6.脳梗塞
7.糖尿病
8.嚥下障害,栄養障害
9.その他の合併症
Ⅳ.認知症患者の処遇と認知症予防
1.リハビリテーション
2.法律・制度
3.胃 瘻
4.認知症診療医とコミュニケーション
5.認知症の予防
APPENDIX
INDEX
序文
2版 序─改訂に寄せて
2012年10月に出版された本書は,コウノメソッドを知る基本的な情報源として多くの方に愛読されました。3年経過した時点で,早くも改訂版の希望が聞かれましたが,筆者は第4弾の『コウノメソッド流臨床認知症学』,第5弾の『コウノメソッドでみる認知症の歩行障害・パーキンソニズム』の完成を優先させました。その理由は,コウノメソッドの進化があまりにも速かったからです。
4年以上前に上梓した本書を読み返すと,今では忘れかけた大事な教訓が書かれてある一方で,この程度の戦略では治せなかった患者さんも多いだろうと冷や汗もかきます。
とはいえコウノメソッドの入り口となる本ですから,今回の改訂では,多くの情報を加筆しすぎてまとまりがなくなる恐れを考慮して,加筆量は適度に抑えて要点をずばりと挿入することにしました。また,薬剤の優先順位も経験患者数とともに微妙に変化してきましたので,その書き換えも行いました。
初版を出版した当時と比べてコウノメソッドが画期的に飛躍した点として,コウノカクテル(点滴療法)の導入があげられます。神経科学において「パーキンソン病関連疾患」というカテゴリーにまとめられたために,パーキンソン病治療薬で歩行を改善できるのだと思い込まれてきた進行性核上性麻痺や,治すすべがなかった脊髄小脳変性症に希望の灯りをともしたのが,抗酸化物質のグルタチオンであり,アセチルコリン系物質のシチコリンです。それに脳代謝改善薬の幼牛血液抽出物(ソルコセリルR)を加えた“カクテル”の配合比を,それぞれの患者の症状に適合するまで調整していく手法です。
また,第4弾『コウノメソッド流臨床認知症学』からは,認知症の鑑別診断に時間と医療費を浪費することのないよう,治療に直結した「キャラクター分類」(バイタリティ分類,エネルギー分類,神経伝達物質分類からなる)を提唱し,臨床認知症学を完成させました。本書改訂でもこの考え方を踏襲しています。
進化を続けるコウノメソッドのポイントを凝縮した本書を活用し,ぜひより高い改善率をともに目指していきましょう。
2017年2月 著 者
正誤表
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。
〈誤〉→〈正〉
頁:89頁
該当箇所:図I-60
誤:(左下のATDの箇所に,円がない)
↓
正:(左下のATDの箇所に,円あり)