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新生児遷延性肺高血圧症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-25
石黒秋生 (埼玉医科大学総合医療センター小児科新生児部門講師)
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  • ■疾患メモ

    新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn:PPHN)とは,通常出生後に低下すべき肺血管抵抗が低下せず,肺高血圧が持続することにより,遺残した胎児循環路(卵円孔,動脈管)を介した右左シャントによって低酸素血症をきたす疾患である。

    発症頻度は1000生産に対し1.9人で,正期産児あるいは在胎34週以上の晩期早産児に多いとされる。

    肺血管抵抗の上昇には,肺血管の異常が関連する。この異常は,①肺血管床の低形成によるもの(腎無形成,先天性横隔膜ヘルニア,羊水過少による肺低形成など),②肺血管平滑筋の肥厚や異常進展など血管発達の異常によるもの(過期産,胎便吸引症候群など),③肺血管の発達は正常であるが周産期要因により肺血管収縮などが認められるもの(肺間質性疾患,B群溶連菌性肺炎など)等,様々な基礎疾患の存在により引き起こされる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    娩出前に胎児徐脈/頻脈などの胎児低酸素所見や羊水混濁が認められる場合は,本症発症の可能性に留意する。

    出生時にしばしば悪臭のある羊水混濁を伴い,皮膚,臍帯の黄染を認めることがある。

    半数以上でアプガースコアは低値であり,気管挿管を含む蘇生処置を要する。

    多くの場合,出生後24時間以内に多呼吸,陥没呼吸等の呼吸不全症状,チアノーゼを認める。

    100%酸素投与や気管挿管による人工呼吸管理によっても,チアノーゼ,低SpO2値が改善しがたい。

    Ⅱ音亢進,三尖弁閉鎖不全による収縮期雑音がしばしば聴取される。

    主に様々な呼吸器疾患が併存し,それぞれに起因する症状を認める。

    【検査所見】

    SpO2値は10%以上の上下肢差(右上肢>下肢)を認める。

    動脈血液ガス所見ではPaO2値の低下を認める。酸素化指数*1は重症なほど高値となる。

    *1:oxygenation index(OI)

    =平均気道内圧(cmH2O)×FiO2(%)÷ PaO2(mmHg)

    胸部X線:肺血管陰影の減弱あるいは併存する呼吸器疾患による肺病変を認める。

    心臓超音波:確定診断を行う。心臓構造異常不在の卵円孔かつ/または動脈管における右左シャントを認めれば確定診断となる。そのほか,右心室拡大(心室中隔の扁平化,左室側への突出),三尖弁逆流を認める。三尖弁逆流からは簡易ベルヌーイの定理を用いて右室圧推定が可能である。

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