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低出生体重児

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-29
高橋尚人 (東京大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター准教授)
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  • ■疾患メモ

    低出生体重児(low birth weight infant)は出生体重2500g未満の新生児と定義され,さらに1500g未満を極低出生体重児(very low birth weight infant),1000g未満を超低出生体重児(extremely low birth weight infant)と言う。

    日本での発生頻度は全出生の約10%で,年間約10万人である。

    低出生体重児の主な原因は,早産と子宮内発育不全である。

    早産児では未熟性による病態・疾患がみられる。

    子宮内発育不全は,胎盤機能不全と先天異常による場合に大きく二分され,それぞれの病態がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    早産児では,呼吸窮迫症候群,動脈管開存症,脳室内出血,高ビリルビン血症,脳室周囲白質軟化症,慢性肺疾患,未熟児網膜症,壊死性腸炎などの合併症に注意する。

    子宮内発育不全では,低血糖,多血症を合併する。低血糖の主な症状は無呼吸,けいれんであるが,明確でないことも多い。多血症は過粘度症候群とも呼ばれ,各臓器の末梢循環不全により,チアノーゼ,心不全,けいれんなど多彩な症状を呈する。

    先天異常による場合は各臓器の異常により多彩な症状を呈する。

    【検査所見】

    血糖検査:生後1~2時間で血糖検査を行い,40mg/dL以下を低血糖とする。

    血液検査:出生後,ヘマトクリットを検査し,65%以上で何らかの症状を伴う場合,または70%以上を多血症と診断する。

    胸部単純X線:低出生体重児の呼吸障害には多くの原因が存在するため,その原因を確認する。

    心臓超音波:先天性心疾患・動脈管開存症の有無,心収縮能低下の有無を確認する。

    頭部超音波:脳室内出血,脳室周囲白質軟化症の有無を確認する。

    腹部超音波:外表所見で先天奇形症候群が疑われたら,超音波検査により内臓奇形の有無を確認する。

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