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尿膜管嚢胞,尿膜管腫瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-07
佐々木 裕 (東京慈恵会医科大学泌尿器科教室)
頴川 晋 (東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    尿膜管遺残は胎児期の尿膜管構造が残存したもので,成人の約2%に認められると言われている。遺残尿膜管に嚢胞や腫瘍が発生することがある。

    尿膜管嚢胞は通常無症状であるが,しばしば感染を伴うことがある。

    尿膜管癌は膀胱尿膜管移行部に発生することが多く,膀胱内では膀胱頂部の腫瘍として見つかることが多い。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈尿膜管嚢胞〉

    通常は無症候性である。感染を伴うと発熱,疼痛を認める。

    感染を認めた場合は,血液検査にて白血球,CRPの上昇を認める。

    〈尿膜管癌〉

    膀胱頂部に腫瘍を認めるケースでは,血尿を主訴に発見されることが多い。

    その他の症状に,下腹部腫瘤,下腹部痛,膀胱刺激症状,尿混濁などがある。無症状の症例も多い。

    尿膜管癌の腫瘍マーカーとしてCEA,CA19-9,CA125が報告されているが,特異的なものはない。

    いずれも画像診断にはMRIが有用である。

    【検査所見】

    〈尿膜管癌〉

    原発性尿膜管腫瘍の定義は,①膀胱頂部に存在すること,②筋層または膀胱外に腫瘍の主体があること,③腫瘤の付近にcystitis glandularisがないこと,④ほかに原発性腺癌がないこと,とされている1)

    尿膜管腫瘍の多くはムチン産生腺癌(70%)であり,ついでムチン非産生性腺癌(15%),移行上皮癌,扁平上皮癌,肉腫なども報告されている。

    尿膜管癌の病期診断は,Sheldonによるstaging2)を用いて評価することが多い()。膀胱癌の病期診断とは異なるため注意が必要である。

    16_10_尿膜管嚢胞・尿膜管腫瘍

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