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ケルスス禿瘡(白癬菌感染)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2019-04-01
北見由季 (昭和大学医学部皮膚科学講座 准教授)
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  • ■疾患メモ

    白癬菌が頭の毛に寄生した状態が頭部白癬であり,白癬菌の寄生した毛(毛包)を中心とした急性化膿性病変をケルスス禿瘡という。

    近年ではペットからの感染(Microsporum canis),また格闘技選手間での感染(Trichophyton tonsurans)が問題となっている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    頭部白癬は脱毛部に軽度の紅斑と鱗屑がみられる型と,毛孔一致性に面皰様黒点(black dot ringworm)がみられる型の2型がある。

    特に高齢者の頭部白癬は脂漏性皮膚炎の症状と間違えやすく,ステロイド外用薬の誤用によりケルスス禿瘡に進行してしまうことがある。

    ケルスス禿瘡の初期は発赤,膿疱,脱毛が認められる。徐々に腫脹,結節,膿瘍を形成する。残っている毛は容易に抜去できる。

    局所の疼痛,圧痛を認め,耳後部・頸部リンパ節腫脹を伴う。

    【検査所見】

    容易に抜去できる毛を採取し,直接鏡検を行う。

    通常,鏡検にはKOH液,ズーム®液を使用するが,パーカーインクKOH液,ズームブルー®液を使用すると,毛への寄生形態(毛外性か毛内性か)を観察しやすい。

    抜去した毛,鱗屑の真菌培養を行い白癬菌の菌種を同定する。

    簡易な培養法として,ヘアブラシ法(シャンプーブラシあるいは歯ブラシを用いて頭部をブラッシングして培養する方法)もある。

    トリコフィチン反応(Trichophyton mentagrophytesの菌体抽出抗原または培養濾液から抽出された粗抗原による皮内反応)は頭部白癬の多くは陰性だが,ケルスス禿瘡では陽性を示す。

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