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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
富田治芳 (群馬大学大学院医学系研究科環境病態制御系生体防御機構学細菌学教授)
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  • ■疾患メモ

    臨床におけるvancomycin-resistant Staphylococcus aureus(VRSA)とは,バンコマイシンに耐性を示すメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)を指している。また米国CLSI基準では高度耐性〔最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)値16mg/L以上)〕のVRSAと低度耐性(MIC値4~8mg/L)のvancomycin intermediate Staphylococcus aureus(VISA)にわけられ,細菌学的にそれぞれの耐性機構は異なると考えられている。前者はバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococcus:VRE)由来のVanA型耐性遺伝子を獲得することによる耐性化,後者は細胞壁の合成や代謝に関連する複数の遺伝子の変異による耐性化と考えられている。

    VRSA感染症は,古典的な黄色ブドウ球菌感染症である創傷部や皮膚の化膿性疾患というよりも,MRSA感染症と同様,病院内での医療用デバイス関連感染症や術後創部感染症,敗血症など医療関連感染,院内感染症としての病態,疾患と考えられる。VRSA感染患者は基礎疾患を持つ易感染宿主の入院患者で,MRSAの先行感染と長期間のグリコペプチド系抗菌薬投与の病歴があることが多い。またVRSA分離例ではVREが同時に検出されることが多く,MRSAとVREが病院環境中に蔓延している国々においてはVRSAの出現と拡散が危惧される。

    最初のVRSAは2002年に米国で分離報告され,これまでに世界中で散発的に十数株ほどの報告があるものの,きわめて稀である。今のところVRSAの急速な増加・拡散は認められず,また幸いなことに日本国内での分離報告例はない。

    一方,VISAは細胞壁が肥厚することを特徴としており,複数の遺伝子変異によると考えられているが,その詳細な耐性機構は不明な点も多い。国内でVISAの散発的な分離,検出の報告はあるが比較的稀で,急速な増加や拡散は確認されていない。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    創傷部位や医療デバイス挿入部の局所炎症所見(疼痛,圧通,腫脹,発赤)や排膿。

    菌血症による発熱,悪寒,全身倦怠感。

    菌の血行性播種による化膿性関節炎や化膿性骨髄炎に伴う諸症状(関節痛,疼痛,腫脹)。

    人工呼吸器関連細菌性肺炎による肺炎症状(発熱,気道内膿性分泌物増加)。

    細菌性心内膜炎による諸症状(発熱,心雑音,関節痛・筋肉痛,塞栓症,うっ血)。

    【検査所見】

    検体(膿,分泌物,尿,関節液,髄液,血液)の細菌検査(グラム陽性球菌検出)。

    細菌培養検査と菌種同定。

    薬剤感受性試験(バンコマイシンMIC値測定):16mg/L以上VRSA,4~8mg/LはVISA。ただし,自動測定器以外の方法による再確認は必須。

    Van型遺伝子検査(VanA型陽性):専門機関による検査。

    検便(便培養)によるVREの検出。

    心内膜炎では心エコーによる弁の機能不全や疣腫。

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