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淋菌・クラミジア感染症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
清田 浩 (東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科教授)
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  • ■疾患メモ

    淋菌(Neisseria gonorrhoeae)とクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis,以下クラミジア)感染症は代表的な性感染症である。

    男性では尿道炎,女性では子宮頸管炎を引き起こす。

    さらに,男性では前立腺炎や精巣上体炎,女性では骨盤内の腹膜炎(骨盤内炎症性疾患;pelvic inflammatory disease:PID)まで波及することがある。

    性感染症の中で淋菌感染症とクラミジア感染症は性器ヘルペス,尖圭コンジローマとともにわが国の感染症法では5類定点把握疾患(全医療機関ではなく国に指定された医療機関がサーベイランスのために保健所に届け出る対象疾患)となっている。それによると,淋菌感染症とクラミジア感染症は男女ともに2002年以降は減少傾向にある(1)

    12_21_淋菌・クラミジア感染症

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    男性の尿道炎:尿道分泌物と排尿痛を主症状とする。潜伏期間は淋菌性尿道炎では3~7日間,クラミジア性尿道炎では1~2週間と淋菌性尿道炎のほうが短い。尿道分泌物は淋菌性尿道炎では膿性,クラミジア性尿道炎では漿液性で,排尿痛は淋菌性尿道炎のほうが強い。クラミジア尿道炎では尿道の掻痒感のみで軽微なこともある。淋菌性尿道炎の約30%でクラミジアの混合感染がみられる。

    男性の前立腺炎・精巣上体炎:前立腺炎は発熱,残尿感,排尿困難を主症状とし,精巣上体炎では精巣上体の腫脹と疼痛を主症状とする。

    女性の子宮頸管炎:帯下の増加を主訴とするが,無症状の症例も少なくない。女性のPIDでは強い下腹部痛,発熱といった腹膜炎症状が出現する。

    【検査所見】

    男性の尿道炎では初尿(出始めの尿20mL)沈査あるいは尿道分泌物を,女性の子宮頸管炎とPIDでは子宮頸管擦過検体を用いる核酸増幅法によって淋菌とクラミジア抗原の検出が行われる。核酸増幅法には4種類あるが,いずれも感度と特異度はほぼ同等である。淋菌性尿道炎では上記検体のグラム染色あるいは培養検査も用いられる。

    女性のPIDでクラミジア抗原が検出できない場合には,補助診断として血清中の抗クラミジアIgA抗体,IgG抗体の抗体価を測定する方法がある。

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