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性器ヘルペス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
石地尚興 (東京慈恵会医科大学大学院医学研究科皮膚科学教授)
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  • ■疾患メモ

    単純疱疹はαヘルペスウイルス亜科に属するherpes simplex virus(HSV)の感染により,皮膚あるいは粘膜に水疱を生じる疾患である。その中で性器に生じたものを性器ヘルペスと呼称する。

    HSVには主に上半身に感染するHSV-1と主に下半身に感染するHSV-2の2種類があるが,性器ヘルペスの原因はHSV-1であることも多く,HSV-2とは限らない。回帰発症を繰り返す場合はほとんどがHSV-2である。

    発症様式には初感染と潜伏感染後の回帰発症,再感染の3通りが考えられる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    初感染では,感染後潜伏期の2~10日を経て,性器に痛みや痒みを伴う多発性の小水疱を生じる。

    HSV-1による初感染では症状が強いことが多く,鼠径リンパ節の腫脹や疼痛・発熱などの全身症状を伴う。

    神経節に潜伏感染していたHSVが再活性化して起こる回帰発症では,異和感や疼痛などの前駆症状の後に,小水疱を数個生じる。通常1週間~10日程度で痂皮化し治癒する。

    【検査所見】

    診断は臨床症状のみで可能であるが,その際,①HSV感染によるものかどうか,②初感染か回帰発症か,③HSV-1によるものかHSV-2によるものかを考える。

    診断に迷った場合は,水疱からの細胞診であるTzanckテストを行う。ウイルス性巨細胞が検出されれば陽性であり,HSVもしくはVZVの感染が示唆される。

    HSVの検出にはイムノクロマトグラフィー法による検出キットが市販され保険適用となっている。HSV-1とHSV-2の区別はできないが,迅速に検出することができる。

    血清抗体価はペア血清を採ることやIgM抗体を調べることで,初感染か回帰発症か判断できるが,交叉反応のためHSV-1とHSV-2の区別はできない。HSV-1,HSV-2の区別にはHSVの糖蛋白gGに対する抗体を調べる必要がある。

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