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アミロイドーシス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
鈴木憲史 (日本赤十字社医療センター血液内科/骨髄腫・アミロイドーシスセンター長)
山元智史 (慶應義塾大学大学院薬学研究科病態生理学講座)
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  • ■疾患メモ

    アミロイドーシスとは,通常は可溶性である蛋白質が,様々な要因により不溶性の繊維状構造物であるアミロイドへと変性し,諸臓器に沈着することで様々な機能障害をきたす疾患群である1)

    ALアミロイドーシス(年間発症率は約3~5人/100万人),家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloidotic polyneuropathy:FAP),老人性全身性アミロイドーシスは治療が長期にわたり,経過を見ていかなくてはならないという意味で,厚生労働省に難病指定されている。

    全身性アミロイドーシスの代表的な病型として,異常形質細胞が単クローン性に増殖し,その産物である免疫グログリン(M蛋白)の軽鎖(L鎖)に由来したALアミロイドーシスがある。

    AAアミロイドーシスは,関節リウマチなど慢性炎症に続発し,CRPのような急性期蛋白(血清アミロイドA蛋白)の沈着が起こる。

    透析アミロイドーシスは,長期の透析に伴いβ2ミクログロブリンが前駆蛋白となり,股関節などの運動器官に沈着する。

    老人性全身性アミロイドーシスは,トランスサイレチン(transthyretin:TTR)が前駆蛋白となり,60歳代以降に発症しやすく,主に心臓に疾患をきたす。

    FAPという病型もあり,遺伝的に変異を起こしたTTRなどが前駆蛋白となって神経節を含む末梢神経,自律神経系やそのほかの臓器に沈着する常染色体優性のアミロイドーシスをいう。

    以下,わが国で最も頻度の高いALアミロイドーシスについて主に述べる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    アミロイド蛋白の沈着臓器は,心臓,腎臓,消化管,神経など多臓器にわたり,臨床症状は多彩である。

    初期には全身倦怠感,体重減少,浮腫,貧血などの非特異的症状があり,経過中にうっ血性心不全,蛋白尿,吸収不良症候群,末梢神経障害,起立性低血圧,手根管症候群,肝腫大,巨舌,皮下出血などを呈する。

    巨舌は特徴的であり,約20%に認められ,消化管アミロイドーシスの診断に重要である。アミロイドの沈着により舌はびまん性腫脹または結節状を呈し,板状に硬くなり,舌の運動は制限される。表面の色は正常色,灰色ないしは淡黄色を呈し,舌側縁では歯圧痕がみられる。

    血管への沈着が著明であれば出血傾向を呈し,紫斑や皮下出血,粘膜下出血を認める。眼窩周囲に紫斑が認められる場合「アライグマの眼サイン」と呼ばれる。

    腎アミロイドーシスではしばしばネフローゼ症候群を呈し,蛋白尿や浮腫,低アルブミン血症を呈する。胸水や心嚢液貯留を見ることもある。

    心アミロイドーシスでは静脈の怒張,肝腫大,浮腫などを呈し,不整脈を認めることがある。心臓へのアミロイドの沈着は予後不良因子と言われている。

    消化管では,胃および十二指腸に沈着しやすい。小腸や大腸に沈着すると,吸収不良症候群や下痢がみられる。

    血管へのアミロイドの沈着により血管の脆弱性が起こり,消化管出血が起こることもある。

    【検査所見】

    〈診断基準〉

    全身性アミロイドーシスの診断には,少なくとも2臓器にわたる病変を認めることが重要であり,限局性アミロイドーシスと鑑別する必要がある。また,基礎疾患として多発性骨髄腫,原発性マクログロブリン血症を除外することが必要である。

    腹壁脂肪吸引生検や小唾液腺,歯肉生検で診断が確定していれば,下記の臓器で組織学的に確認されていない場合でも病変の存在が疑われる。

    ①腎臓:尿蛋白>0.5g/日(アルブミン主体であること)。

    ②心臓:心エコー所見で左室壁・中隔壁肥厚>12mmで,ほかの心疾患のないこと。もしくは腎不全および心房細動がみられない状況においてNT-proBNPの高値(>332ng/L)を認める。

    ③肝臓:心不全の症状なく,total liver span>15cm,あるいは血清ALP値正常上限の1.5倍以上。

    ④神経:対称性下肢知覚(グローブ・ストッキング型)・運動末梢神経障害,あるいは直接的臓器浸潤と無関係な胃内容排出障害, 排尿障害。

    ⑤消化管:病変部位の生検による直接的証明。

    ⑥肺:病変部位の生検による直接的証明,あるいはCTによる間質性パターン。

    ⑦軟部組織:巨舌,関節症,血管アミロイドによる跛行,皮膚,筋肉,shoulder-pad sign,リンパ節腫大,手根管症候群。

    〈確定診断〉

    確定診断は,病理学的検査,骨髄検査,免疫グロブリン検査などにより行う。

    病理学的検査により,アミロイド蛋白の沈着を証明する。心不全,動悸,蛋白尿,浮腫,舌の異常から,疑わしい病変があれば,生検を行う。

    M蛋白の検出には,血清・尿の電気泳動を行う。わが国では免疫電気泳動が広く実施されている。2011年9月より遊離軽鎖(free light chain:FLC)の測定が保険適用となった。本法はアミロイドーシスの98%の症例でFLCの検出が可能であり,高い検出感度を示す。血清FLCは予後因子としても重要であり,また,半減期が短いため,その測定は治療効果判定にも有用であるとされている。

    骨髄穿刺を行い,単クローンな形質細胞の増殖を認める。また,細胞表面マーカーでCD138,CD79a,CD56,Cyclin D1の発現が高く,CD20は42%に発現される。細胞遺伝学的には,11番と14番染色体の転座が多く確認されるが,これは予後不良因子である。

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