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慢性腎臓病(CKD)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-09-22
木村健二郎 (医療機能推進機構高輪病院院長)
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  • ■疾患メモ

    CKDは腎臓が障害されている状態〔主に尿蛋白(アルブミン)陽性でわかる〕,または腎機能が低下している状態(GFR<60mL/分/1.73m2で定義される)が3カ月以上持続している病態を広く包括する概念である。

    CKDの重症度はGFR低下の程度と,尿蛋白(アルブミン)の程度の組み合わせで評価する。

    CKDは末期腎不全のみならず,脳卒中や心筋梗塞といった心血管疾患を発症する危険性があるので,早期発見・早期治療が重要である。

    CKDの頻度は,わが国では全人口のおよそ13%(1300万人)と推定されている。

    本項は保存期のCKD(維持透析患者と腎移植後の患者を除くCKD)について述べる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    CKDには特有の症状がないことが特徴である。

    末期腎不全になっても自覚症状のないことが多い。時に,浮腫がみられることがある。尿毒症症状として,食欲不振・吐気などの消化器症状や倦怠感がみられることがある。

    高血圧を高率に合併する。

    【検査所見】

    CKDの診断と重症度評価には,血清クレアチニンと尿蛋白(アルブミン)を測定する()。

    07_02_慢性腎臓病(CKD)

    血清クレアチニンを測定したら,同時に年齢と性別からeGFR(推算糸球体濾過量)を計算する。

    男性:eGFR(mL/分/1.73m2

       = 194×年齢−0.287×Cr−1.094

    女性:eGFR(mL/分/1.73m2

       = 194×年齢−0.287×Cr−1.094×0.739

    尿蛋白(アルブミン)は定量するが,必ず尿中クレアチニンも同時に測定し,その比をとって評価する。単位はg/gCrまたはmg/gCrで,尿中へのクレアチニン排泄量1gあたりの蛋白(アルブミン)の排泄量として計算される。

    〈CKDの原因疾患による特徴的な検査値異常〉

    慢性糸球体腎炎:疾患により血清IgA値高値(IgA腎症,紫斑病性腎炎),血清補体価低値(膜性増殖性糸球体腎炎,ループス腎炎など)など。

    糖尿病腎症:血糖高値,HbA1c高値など。

    腎硬化症:尿蛋白(アルブミン)が陰性のことが多い。

    嚢胞腎:画像で特徴的な両側腎に多数の嚢胞がみられる(肝臓・膵臓にも嚢胞がみられることがある)。

    〈CKDが進行したときに高頻度でみられる検査値異常〉

    高尿酸血症,高カリウム血症,低カルシウム血症,高リン血症,ヘモグロビン低値(腎性貧血)など。時にアシドーシス(血液HCO3濃度<24mEq/L)。

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