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胃ポリープ・胃腺腫

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-13
前畑忠輝 (慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門)
矢作直久 (慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門教授)
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  • ■疾患メモ

    胃ポリープ(gastric polyp)とは,胃の内腔に突出した胃粘膜上皮の限局性隆起性病変の総称である。通常は良性疾患を指す。肉眼分類として,山田・福富分類が用いられることが多い(表1)。

    主に胃底腺ポリープ,過形成性ポリープ,腺腫性ポリープ〔胃腺腫(adenoma of the stomach/gastric adenoma)〕に大別される(表2)。

    05_18_胃ポリープ・胃腺腫


    自覚症状はほとんどないが,一部はHelicobacter pylori感染や消化管ポリポーシスに関連性がみられ,胃腺腫は早期胃癌との鑑別が必要となる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    いずれも自覚症状はほとんどない。

    1)胃ポリープ

    【検査所見】

    特徴的な内視鏡所見を有していることが多く,内視鏡検査にて比較的容易に診断がつく。

    〈胃底腺ポリープ〉

    内視鏡上,周囲粘膜と性状の変わらない山田・福富分類Ⅱ,Ⅲ型が多く,大部分が半球状で単発から多発性に発生する。背景粘膜は,H. pylori陰性の萎縮のない胃粘膜である。

    〈過形成性ポリープ〉

    山田・福富分類Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ型を呈し,分葉状の形態をとることが多い。発生部位は胃体部から幽門部に多く,背景粘膜はH. pylori陽性の萎縮性胃炎である。

    2)胃腺腫

    【検査所見】

    胃腺腫は0~Ⅱa分化型早期胃癌との鑑別が重要である。鑑別ポイントは①病変の大きさ,②表面性状,③病変の色調,④継時的変化などが挙げられる(表3)。

    ただし,病変径が小さくても上記要素が認められた場合は,担癌リスクがあるため注意が必要である1)2)

    最近では,NBI(narrow band imaging)を併用した拡大内視鏡を用いることによって診断能が向上していると報告されている。生検だけでは診断が困難なこともあり,診断的な内視鏡治療も検討される。

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    コチラより

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