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慢性胃炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-15
村上和成 (大分大学医学部消化器内科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    慢性胃炎(chronic gastritis)の概念や診療は近年大きく変化しつつある。

    これまでの保険病名としての慢性胃炎は,Helicobacter pylori感染症としての組織学的胃炎とほぼ同義となり,もたれや痛みなどの症候に基づいた疾患は機能性ディスペプシアと分類される。

    H. pyloriは1982年に分離され,その後消化性潰瘍との関連が証明された。胃癌との関連が明らかになり,1994年WHOにより胃癌の第一級の発癌因子であることが認定された。日本における感染率は,10~20歳代の若年者では5~10%であるが,年齢とともに上昇し,60歳以上では50~70%に達する。感染ルートの多くはヒトからヒトへの経口感染であり,感染時期は5歳以下の小児期,特に乳幼児期である考えられている。

    本菌感染により,ヒトの胃粘膜に組織学的胃炎を引き起こし,長期にわたる持続感染により胃粘膜の萎縮や腸上皮化生を経て胃癌のリスクとなる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    胃の痛みやもたれといった上腹部症状を伴うことがあるが,H. pylori除菌により改善するのはそのうち10%程度とされている。

    【検査所見】

    内視鏡検査により,萎縮や腸上皮化生から慢性胃炎を診断する。X線でも診断は可能である。内視鏡により,H. pyloriの感染状態もほぼ診断可能である。

    H. pylori感染の検査法としては,生検組織から菌自身を分離培養する細菌学的診断,病理組織学的診断,菌体の有するウレアーゼ活性を指標としたrapid urease testがある。

    非侵襲的検査法としては,尿素呼気試験(UBT),血清抗体診断法,糞便中のH. pylori特異抗原測定法がある。このうち,UBTは胃内全体に存在するH. pyloriを反映しており,高価ではあるが,簡便で感度・特異度の高い検査である。

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