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頭部外傷

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-13
並木 淳 (立川病院副院長・救急科部長)
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  • ■治療の考え方

    頭部受傷時には,まず頸椎保護,気道・呼吸・循環(ABC)に対する緊急時の処置を優先する。

    頭蓋内損傷(脳挫傷や外傷性頭蓋内出血)を疑った場合は,直ちに頭部CTを行う。その後,頭皮の創傷処置と専門医への紹介の必要性を検討する。

    ■病歴聴取のポイント

    受傷時刻:受傷から時間が経過しているほど,新たな頭蓋内出血が出現するリスクは低下する。受傷からおおむね6時間までは急性増悪(いわゆるtalk and deteriorate)に備えた診療を行う。

    以下①~⑤のいずれかに該当する場合は頭蓋内損傷を疑い,直ちに頭部CTを行う。①強い外力を示唆する受傷機転(歩行者または自転車と自動車の衝突事故,自動車からの車外放出,1mまたは階段5段よりも高所からの転落事故),②外傷後痙攣,③受傷時の意識消失,受傷後健忘,逆行性健忘(受傷前の記憶の喪失),④血液凝固能の異常をきたす既往歴(肝硬変・血液疾患など),抗凝固・抗血小板薬(表1)の内服,⑤偶発的事故による受傷ではない疑いがある(おおむね15歳以下の場合は虐待を示唆する)。

    01_33_頭部外傷

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    気道:閉塞がないことを確認する。会話可能なら気道は開通していると判断できる。

    呼吸:胸郭の挙上を観察し,聴診で両肺野の呼吸音を確認する。

    循環:意識障害(Glasgow Coma Scale:GCS≦14)を伴う高血圧かつ徐脈は,頭蓋内圧亢進によるCushing現象を疑い,直ちに頭部CTを行う。

    意識:来院時GCS 12以下(15歳以下ではGCS 13以下),もしくは受傷後2時間でGCS 14以下の場合は,直ちに頭部CTを行う。GCS 15(意識清明)と判定するには,見当識障害がないことを確認する(表21)

    01_33_頭部外傷

    【身体診察】

    強い頭痛,もしくは2回以上の嘔吐(15歳以下では来院までに3回以上,あるいは来院後の嘔吐)があれば,直ちに頭部CTを行う。

    瞳孔:瞳孔径と対光反射を診察する。意識障害(GCS≦14)を伴う瞳孔不同(0.5mm以上の左右差)あるいは対光反射の左右差を認めれば,直ちに頭部CTを行う。

    頭部の視診・触診:頭蓋骨開放骨折あるいは陥没骨折が疑われるとき,乳児では大泉門の緊張あるいは5cmを超える外傷(打撲,腫脹,あるいは挫創)を認めたときは,直ちに頭部CTを行う。

    顔面の視診:頭蓋底骨折のサインとして,鼓膜内出血,パンダの目(眼窩周囲の皮下出血),髄液耳漏・鼻漏(サラサラした血性の流出),あるいはバトルサイン(耳介後方の乳様突起部の皮下出血)を認めたときは,直ちに頭部CTを行う。

    神経学的局所症状:運動反応では特に片麻痺の有無を診察する。意識障害患者では痛覚刺激に対する四肢の運動反応をみる。脳神経では特に,視力・視野(Ⅱ),対光反射と眼球運動(Ⅲ,Ⅳ,Ⅵ),そして小脳症状を診察する。異常があれば,直ちに頭部CTを行う。

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